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UI/UX改善“実践”レポート

「UI/UX改善に効くワークショップ」を行う方法とは? ファシリテーター視点で整理しました

 グループウェア「rakumo」が6年ぶりに「UI/UXデザインの大改善」を行いました。そのために関係者が取り組んだものが、「ワークショップ」です。本記事ではファシリテーターの視点でワークショプのポイントを整理し、他社でも実践できるためのノウハウをご紹介します。

ワークショップをすると、何がわかるのか

 こんにちは、ネットイヤーグループの坂本です。3回にわたりグループウェア「rakumo」のリニューアルに際して行ったワークショップについて、サービス提供側であるrakumoの田中さんに紹介いただきました。最終回はファシリテーターの立場から、「ワークショップを行うノウハウ」を軸に取り組みを振り返りたいと思います。

 今回のグループウェア「rakumo」の大改造で取り入れた、ワークショップを主体とする取り組みは、デジタルプロダクト(Webアプリ)を企画する際にもっとも重要な部分が凝縮しています。課題分析からはじまり、対象ユーザーとなるペルソナの作成、顧客価値を見出すためのコンセプト策定、どのようにユーザーと向き合うかといった一連の流れを可視化するジャーニーマップの作成を通して「誰に・何を・どのように」提供するかが見えてくる取り組みです。

誰に・何を・どのように
誰に・何を・どのように

 デジタルプロダクトの見直しをするうえで気をつけるべきことは、関係者がこれまで考えてきた発想に収まらないようにすることです。提供側の考えだけに偏った視点で、企業がしたいこと・できることにもとづいた発想では、肝心のユーザーを発想の外に置き去りにしてしまいます。

 提供側をビジネス視点、利用者側をユーザー視点とした場合、どちらも情報源と捉える必要があります。ファシリテーターの立場では、このビジネス視点(rakumo側の視点)をいかにユーザー視点に変えてもらうかがポイントになりました。

 ベン図にした場合、下の図のように重なった部分が顧客価値であり、提供すべき重要なことはユーザー視点の中にもあることを理解してもらう必要があります。

顧客価値はビジネス視点とユーザー視点の重なった部分にある
顧客価値はビジネス視点とユーザー視点の重なった部分にある

 そのため、今回のワークショップでは実際にユーザー視点を体験してもらうようなワークを中心に構成しました。専門的にはHCD(人間中心設計)とも呼ばれますが、要するに、ユーザーのことを考え、ユーザーの視点に立って利用状況を理解していく流れで進めます。

ワークの流れ
ワークの流れ

 なお、いわゆるユーザー調査(インタビュー)やプロトタイピングについては、今回の期間には含んでいません。後続タスクとして以降で取り組んでいます。

ペルソナとシナリオの活用が重要

 ワークのうち、ペルソナとシナリオにかかる部分がもっとも重要です。今回は現行サービスがある状態での取り組みなので、「誰に・何を・どのように」のうち「何を」はrakumoと決まっています。したがって、「誰に」「どのように」について掘り上げていきました。

 「誰に」を決めるにはユーザーの調査からはじまります。ユーザーセグメント(つまり分類軸)を定めて、どんなユーザーがいるのかを整理します。今回は年齢・性・職業などの、いわゆるデモグラフィックデータは問わず、仕事のスタイルが「内勤か外勤か」と、rakumoの利用スタイルが「予定の登録中心か閲覧中心か」という軸で4体のペルソナを作成しました。

ユーザーセグメントの例
ユーザーセグメントの例

 ペルソナとは仮想のユーザー像を指しますが、現行サービスがある場合は既存の利用者像から導き出すほうが効率的です。すると具体的な指標も立てやすくなりマーケティングデータとしても活用しやすくなります。たとえば、利用頻度が高いユーザーや利用時間の偏り、利用環境(スマホからのアクセス)などは調べればわかるため、そうしたデータを活用したペルソナを作成します。

 次に「どのように」です。これを決めるにはペルソナの利用シーンを想定しなければわかりません。今回はカスタマージャーニーマップを用いて、利用シーンを可視化しました。

ジャーニーマップの例
ジャーニーマップの例

 rakumoの場合はジャーニーマップを作成することで、rakumoへの登録を「口頭で指示を受け」たり、登録した予定について「関係者に直接説明に行く」といった利用シーンまで具体的に掘り下げることができました。このようにユーザーの利用状況を理解するためには、デジタルプロダクトを取り巻く利用者の環境まで見ていく必要があります。

 そうした利用状況(利用前から利用後まで)をステップに分けて整理することで、カスタマージャーニーマップの基本的な流れができてきます。あらかじめ対象のデジタルプロダクトが決まっている場合には、そのプロダクトの利用前から利用後を可視化して分析します。そのときに利用者がどんな行動をしているのか、どのように感じたのかなどを仮説で埋めていくことで、どのような課題があるのかが突き止めやすくなります。たとえば、「単純に離脱率が高い」だけでなく、「○○をしたあとに離脱している」といった具体的な糸口が見つかるわけです。

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この記事の著者

坂本 貴史(サカモト タカシ)

 ネットイヤーグループ株式会社のUXデザイナー。国内外の大手企業におけるデジタルマーケティング支援として、Web情報アーキテクチャやUXデザインを担当。著書に『IAシンキング』『IA/UXプラクティス』がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/06/24 10:00 https://markezine.jp/article/detail/24597

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