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UI/UX改善“実践”レポート

「UI/UX改善に効くワークショップ」を行う方法とは? ファシリテーター視点で整理しました

フレームワークの組み合わせ

 ワークショップを進めるには、いくつかのフレームワークがあります。最近では短期間でワークを行うフレームワークをまとめたプログラムまであります。主にスタートアップ向けに提供されるこうしたフレームワークは、既存サービスの改善にも役立ち、ディスカッションをする際の手法としても注目されています。

 米コンサルティング・ファームのKate Rutter氏が公開している資料「Rapid Design & Experimentation for User-Centered Products」では、デザイン思考で進めるフレームワークを9つにまとめています。

「Rapid Design & Experimentation for User-Centered Products by Kate Rutter」より引用
「Rapid Design & Experimentation for User-Centered Products by Kate Rutter」より引用

 このうち「2x2 Sort」や「Quiet Read」「Dot-Vote」などは、今回のワークショップでも取り入れたフレームワークです。特に「Quiet Read(静かに読む)」と「Dot-Vote(投票する)」を組み合わせることで、参加者全員に投票の機会を与えて多数決で決めことができます。口頭だけの会議では、どうしても声の大きい人の意見に左右されがちです。模造紙を壁に貼り出して参加者が投票して進める風景が、会議の定番になると変わるものも多いでしょう。

デザインスプリント(短期間のプログラム)

 フレームワークを組み合わせた数日間のプログラムとして「The Design Sprint」や「Service Design Sprints」があります。どちらも短期間で取り組むワークショップスタイルで、最終的にはユーザーからの評価までを取り入れたプログラムです。最終的に落とし込むのが、サービスかプロダクトかという点で違いがありますが、どちらもリーンスタートアップをベースにした短期間集中プログラムです。

  • Servie Design Sprints:4日間。MVS(Minimum Viable Service)=最小限のサービスを得る
  • The Design Sprin:5日間。MVP(Minimum Viable Product)=最小限のプロダクトを得る

 今回実施したフレームワークも、この短期集中プログラムと同様に、早い段階でもっとも重要なことを関係者間で共有し、意識を変えることにつなげました。今後、ある程度こうした手法を経験した方々が増えていくと、ワークショップ自体も進めやすくなるかと思います。

周囲を巻き込むためには何からはじめるべきか

 フレームワークや進め方はある程度、自分で勉強できます。しかし、実際のファシリテーションの経験はそうした知識ではなく、場数が直接影響する部分もあります。したがって、こうした取り組みを推進したいと考えた場合は、まずはスモールスタートで実施することをおすすめします。その場合、「事前に決めておくこと」を読んでいただき、方向性だけでも検討しはじめるのがよいかと思います。

 「カスタマージャーニーマップの作成」というひとつのタスクだけ見ても、個人で取り組んだほうがいいのか、まわりを巻き込んだらいいのか迷う方もいるでしょう。もしそうであれば、次のようにプロセスで考えてみてはいかがでしょうか。カスタマージャーニーマップの作成でも、何も用意せずに参加だけする方がいますが、やはり自分なりにまずは整理して考えてみることからはじめるほうが効率的です。

プロセスで考える
プロセスで考える

 次に、同じように個人で考える人を増やすことです。各々が考えたものを持ち寄って軽く集まるという方法で巻き込んでいく方法です。こうすれば「集まって何ができるかわからない」といった悪い印象を持たれずに済みます。それができれば、この状況をほかの人にも見てもらいましょう。すると、実際に手を動かすのは少数でもディスカッションに参加できる人数はどんどん増えていきます。

 今回のワークショップは、あらかじめ人数や参加者を決めて取り組みましたが、個人の勉強の一環としてカスタマージャーニーマップを作成してみる場合や、ワークショップのフレームワークを勉強する機会としても取り組むことが可能です。自社内で有志が見つけられなければ、イベントやセミナーでの参加者同士でネットワークを活用したり、講師を招いたり、経験者にアドバイスをもらったりして行うことも可能でしょう。

 およそ8回のワークで取り組んだ「rakumo」のリニューアルプロジェクトでしたが、参加者全員を巻き込み、ワークショップを中心とした進め方でスムーズに進めることができました。細かな改善案はもちろん、大前提となるコンセプト策定まで、目的としていた共通認識ができたプロジェクトだったと思います。みなさんも、ぜひ、ワークショップを活用してみてください。

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この記事の著者

坂本 貴史(サカモト タカシ)

 ネットイヤーグループ株式会社のUXデザイナー。国内外の大手企業におけるデジタルマーケティング支援として、Web情報アーキテクチャやUXデザインを担当。著書に『IAシンキング』『IA/UXプラクティス』がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/06/24 10:00 https://markezine.jp/article/detail/24597

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