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資生堂が取り組むデジタルブランディング~テレビCMの届かない層へ動画広告でリアルタイムに補完

 これまで、認知やブランディングを目的とした施策の中で圧倒的優位を誇っていたテレビCM。しかし、昨今ではスマートフォンなどの登場で若年層を中心にそれが届かない人がいる。そのような人々にアプローチできる施策として注目を集めているのが動画広告だ。本記事では、資生堂がテレビCMと動画広告を組み合わせ、ブランドリフトを行った施策について、資生堂の中條氏と施策の支援を行った動画広告専門代理店CyberBullの宮田氏に伺った。

動画、ネイティブ広告に注力

MarkeZine編集部(以下、MZ):今回は動画広告の活用に関してお伺いしたいと思います。まずは中條さんの担当業務について教えてください。

資生堂ジャパン株式会社 コミュニケーション統括部 中條 裕紀氏

中條:私は主にデジタル広告のプランニングを担当しています。資生堂が抱えている各ブランドのブランディングを目的として、どの媒体に広告出稿を行うかをプランニングしています。

MZ:ダイレクトレスポンスではなく、ブランディング目的の施策に関して担当しているのですね。デジタル広告を用いたブランディングでは、どういった指標をKPIとして設定していますか。

中條:KPIに関しては、これまでマス広告で使われてきた指標が近いと思います。リーチ数をはじめ、購入意向などがブランドリフトしているかどうかといったことを見ています。CPC(Cost Per Click:1クリックあたりの単価)やCPA(Cost Per Acquisition: 一人あたりの支払額)だけを追うことは基本的にしないようにしています。

MZ:マス広告に近い指標をKPIとしているのですね。現状の集客施策で注力している施策はありますか。

中條:注力している施策としては大きく2つで、1つは動画広告、もう1つはネイティブ広告です。理由としては、弊社のブランドのメインターゲットである20代から30代の女性におけるメディア接触の変化への対応です。テレビなどのマスメディアより、スマートフォン上で見られるメディアの影響力が強くなってきています。つまり、デジタルメディアの力を借りる必要があります。その際、デジタル上でブランドリフトを狙っていけるのはこの2つの手法だと思っています。

MZ:動画広告やネイティブ広告の掲載先で気になっているものはありますか。

中條:特に動画広告でいえば、ターゲティングが細かくできるメディアは注目しています。特に属性情報を正確に持っているソーシャルメディアなどは外せない配信先になっています。

動画広告の効果を明確にしたい

MZ:年齢や性別などでターゲティングできるメディアもありますからね。今回CyberBullさん協力のもと、テレビCMと動画広告を掛け合わせた新しい取り組みを実施したと聞いていますが、なぜ今回の施策を行うに至ったのですか。

中條:テレビCMとの掛け合わせを行った理由は、テレビCMにおける課題を動画広告の活用で解決に導けるのではと感じたからです。リーチがしっかりと取れなくなってきて、同じGRPを投下しても、フリークエンシーが偏ってしまう。たとえばテレビCMに20回接触している人もいれば、1回ないし0回という人も多くいます。つまり、テレビだけでブランディングを実現するのは難しくなってきているのです。

 くわえて、テレビCMだとPDCAのサイクルがどうしても遅くなってしまいます。春夏向けに出稿したら、その結果をもとに秋冬に向けて改善するのが一般的です。ただデジタルであればその出向期間内に運用で改善可能なため、テレビCMで取りきれないリーチをリアルタイムに補完できると考えました。

MZ:テレビCMの課題を解決するという目的があるのですね。動画広告における課題はいかがですか。

中條:動画広告の効果を明確化できる基準が業界にないということですね。たとえば、Facebookで動画広告を配信した際に、CTR(クリック率)やいいね率が良くてもブランドリフトにつながらないことがわかっています。リーチ数やフリークエンシー数、テレビとの相乗効果など効果を見る指標はいくつかありますが、どのくらいが適正な数値かがわからなかったので、それを導きだしたいと思いました。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/06/30 12:00 https://markezine.jp/article/detail/24620

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