Azure MLが持つ3つの優位性
次に登壇したのは、ナレッジコミュニケーションの取締役副社長、COOである小泉 裕二氏だ。クラウドの中でも主にビッグデータや機械学習の分野に注力しているという同社。Azureの魅力や同社が提供する機械学習ソリューションについて紹介した。
「2006年から運用している自社運営の口コミサイト『ナレコム』では、Azureの機械学習によって掲示板の書き込み内容を自動判別し、不正投稿の削除対応を行っています。過去に削除した書き込みを蓄積しテキストマイニングを行うことで、約8割の精度で削除対応の自動化を可能にしました」(小泉氏)
また、小泉氏はAzure MLの優位性について3つの側面から解説した。まず1つ目はインフラ面だ。クラウド上で提供されているので、個別に大規模なインフラを用意する必要がなく、データをAzureに蓄積すれば、すぐに利用できる。
2つ目は、アルゴリズムに関する優位性だという。XboxやBingといったマイクロソフトのサービスで実証済みのアルゴリズムが約20種類提供されており、常に最新のものにバージョンアップされる。そして、自社で環境を構築してアルゴリズムを開発すると検証機関に長い時間を要するが、Azure MLを活用すると速いスピードで実証・検証することができる。
最後はユーザーへの配慮だ。使った分だけ課金される従量課金の仕組みをとっており、ブラウザ上で操作でき、基本的にコーディングがいらないことから、コスト面・操作面ともにユーザー思いであるのが特徴だ。
これらの優位性を踏まえ、最後に小泉氏は「互いの得意分野を持ち寄って、お客様に良い価値を届けられるよう、ぜひ今後のビジネスに発展させていければ」と語り、講演を終えた。
40兆件を超すデータを格納するトレジャーデータのDMP
続けて、トレジャーデータでマーケティングを担当する堀内 健后氏がセッションを行った。トレジャーデータは約200社の企業にデータマネジメントサービスを活用しており、日々増え続けるデータは40兆件を超えているという。
「Webやアプリのログデータといったデジタルマーケティングに関するデータ以外にも、ウェアラブルウォッチや自動車、風力発電のタービンの稼働状況まで、ありとあらゆるデータをお預かりしています。データの蓄積は誰にでもできること。大量のデータを分散処理するという労力のかかるところは我々にお任せいただきたい」(堀内氏)
堀内氏はデータを蓄積する重要性についても言及した。Webやモバイルでも購買はもちろん、顧客は様々な行動をとる。そのログや他のデータをもとに分析し、施策を投じなければ顧客とのコミュニケーションが成立しないという。
トレジャーデータでは、そういった背景からプライベートDMP「TREASURE DMP」をリリースした。様々なツールと連携し、クラウド上にデータを上げるのみでデータを蓄積することができる。くわえて、広告ソリューションを提供する企業と連携し、蓄積データをスムーズに施策に反映するといったことも可能にしており、随時連携先を拡充している。
実際にサービスを活用する広告主の事例も増加している。たとえば、若年層に対するマーケティングにおいて課題を抱えていた資生堂では、Webサイト「ワタシプラス」で保有する260万人分のIDと店舗のPOSデータなどを紐付け、データを蓄積している。今後はアドネットワークやDSP、ソーシャルメディアへの広告出稿などに役立てる予定だという。
堀内氏は最後に、「他にも『TREASURE DMP』はさまざまな活用が可能です。この瞬間も増え続けているデータをビジネスの価値に変えていただきたい」と語った。