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動画マーケティングの最新情報・成功事例を紹介!「動研」出張版

「初めての動画マーケティングだったが、予想以上の成果」WWFの動画活用事例

ターゲットをネコ好きに絞った個人支援者拡大のためのキャンペーン動画とは

── 紙媒体とWebは、どういうバランスで配分されているのですか。

 紙媒体とWebのプロモーションをどういうバランスで配分していくかは、基本的に、各媒体のこれまでの効率を積み上げていく感じですね。

── TVCM等の制作をされていたということは、動画制作のご経験は豊富なのですか。

 WWFジャパン全体としては、TVCMをはじめとして他でもいくつも動画を制作しています。ただ、私の職務である新規に支援者を増やすという部分について動画を制作するのは、今回が初めてです。

── 動画を作成しようと思ったきっかけはなんですか。

 gooddoさんの引き合いがあったことが一番大きかったです。動画制作のコストが見えなかったので、ある程度低価格で制作でき、クオリティも確保できるというViibarさんとの引き合わせは、とてもありがたかったです。

── 動画の活用は、個人会員獲得につなげることが一番の目的なのでしょうか。

 はい。環境保全を訴える動画については、これまで数多く作成していたのですが、支援者を増やすといったファンドレイジングのための動画というのは、初めての取り組みなので、支援者拡大につなげるという目的を非常に意識して、クリエイターさんとディスカッションしながら動画を作りました。

── 支援をしてくださる可能性がある方々とおっしゃっている、動画のターゲットはどこで、どういった人をイメージされているのでしょうか。

 昨年度のキャンペーンについていうと、猫が好きな方をターゲットに設定しました。これまでのプロモーションの傾向分析や、他国のWWFにおける活動の傾向から、猫が好きな人というのは、トラ、ヒョウ、ウンピョウやアムールヒョウといったネコ科の動物全般が好きだということがデータからも分かっています。

 Facebookの投稿などを見ていて実感されている方も多いと思うのですが、ネコ好きの方々は、トラやライオン、ヒョウといったネコ科動物にも「かわいい」といったリアクションや興味を示すことが多い。ネコ好きの方々は、ネコ科の野生動物が好きなだけでなく、その動物が危機であるということをお知らせすると、支援をくださる傾向も非常に高いということをデータが示唆しています。

 現在世界には37種の大小さまざまなネコ科の動物たちが生息しており、そのうち17種が絶滅危惧種に指定されています。ロシアの最東端にあるアムール地方には、アムールヒョウというネコ科の絶滅危惧種が生息していますが、WWFジャパンは、このアムールヒョウの保護をWWFロシアと一緒に取り組んでいます。

 その活動によってもともと30頭しか残っていなかったアムールヒョウが、今は80頭に増えました。とはいえ、80頭という個体数を小学校の学級に置き換えたら、たったの2クラス分でしかないわけです。

 このように、ネコ科動物が危機的状況に陥っていることは紛れもない事実なので、ネコ科動物を守る活動を通してWWFを支援してくださいというメッセージを、猫が好きな人をターゲットにして届けるというキャンペーンは、効果的であろうということが予測されました。

── そうしたキャンペーン動画を制作する上で重要視された事柄はありますか。

 そうですね。これはバランスの問題なのですが、ネコ科の動物ばかりにフォーカスした内容にはならないよう、クリエイターさんに強くお願いしました。ネコ科動物を守ることは環境保全の上で非常に重要なことなのですが、冒頭で説明させていただいた通り、私たちはネコ科の動物だけを守る団体ではないので、動画という視覚的にエモーショナルなツールを使ってキャンペーンをはることで、誤解や認識の違いといったものが生まれることを危惧していたからです。

 ディレクションの際にも、危機をエモーショナルに伝えてほしいのだけけれども、ただ単に、ネコ科の動物を守るというだけでなく、日本社会における消費の在り方を変えていくということや、温暖化を防止するといったことも、メッセージに盛り込んでみながら制作しました。なので、動画の途中で森林伐採がネコ科動物を傷つけているということや、密猟が人間によって行われているというメッセージをポイントとして挿入しています。

 ファンドレイジングで動画を活用するのは今回が初めてだったので、ネコ科の動物の保護団体という間違ったイメージが広まってしまうのではないかといったことを危惧する意見も少なくありませんでした。しかし、出来あがった動画を見てもらってからは、バランスが取れていて非常にいい内容だという評価をもらうことができました。

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初めての動画でも、予想以上の成果を得られた

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この記事の著者

小野 敬明(オノ タカアキ)

外資系コンサルティングファームにて戦略コンサルティングに従事した後、2014年に企業のデジタル動画マーケティングを支援する株式会社Viibarに参画。自社のマーケティング活動を統括すると共に、動画を活用したマーケティング戦略や、データを基にした動画の企画・制作メソッドの開発を行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/09/27 08:00 https://markezine.jp/article/detail/25077

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