DMP導入で掴んだ顧客の姿、ソーシャルメディアはブランディング特化
デジタルマーケティングには、膨大なツールやソフトウェアが存在する。両社はどのようにして業務を加速しているのだろうか。

安室氏は、最近の取り組みとしてDMPによるデータ活用を挙げた。これまでは、現場の経験や感覚で同社の自動車を購入する人のイメージを作り上げていた。しかし、実売データやWeb上のトラフィックなど様々なデータを取得、分析してWebサイトやマーケティング活動の改善に活かしているという。
一方、西氏はソーシャルメディアの活用に注力しているという。
「JTB公式が運用しているソーシャルメディアのうち、FacebookとGoogle+の2つはブランディングに特化し、直接的な商品宣伝はしません。またLINEはDMに近い形で活用しています。多くのお客さまに広告を届けるメディアとして使っています」と語った。
今後は動画の活用を加速
業界裏話や社内事情など、多くの話題が飛び交った本セッション。最後に今後のプロモーション手法について話が及ぶと、揃って飛び出したキーワードは「動画」であった。
富士重工業では、今までの手法ではリーチできなかった層に向けて発信するため、動画を制作しているという。
「スバルのことを好きになってもらう上で、動画は大きな力を発揮すると思います。ただ、力が強い反面、注意すべきことも多いですね。最後まで動画が見られると、認知度も購買意欲もたしかに上昇するでしょうが、強制的に見せてしまうとユーザにうっとうしいと思われてしまいます。ブランド体験をとても大事にしているので、見せ方には特に気をつけたいですね」(安室氏)
JTBワールドバケーションズでは、2016年夏に行った写真投稿キャンペーンが好評だったこともあり、今後も注力していきたいと語る。
「『海外旅行の思い出』に関する写真投稿キャンペーンを行い、その中から優秀な写真をつないでオンラインムービを制作・配信しました。非常に魅力あふれる、旅行に行ってみたいと思える写真が多く集まったので、成功だったと感じています。我々が通常、お客様と接することは多くありませんが、今後はこういった顧客参加型のキャンペーンを通じて、接点を増やしていきたいと考えています」(西氏)
最後にモデレーターを務めた荒川氏は、「2社のお話からもわかるように、今後需要喚起や顧客育成を行っていく上で、デジタルマーケティングはますます必要になってきます。また、これまでのマス、デジタルの施策を別部署で動かしていた組織にも変革が求められてくるのではないでしょうか」と述べ、パネルディスカッションを締めくくった。