仮説に対し答えてくれるデータ
道上:ここまで、アプリ提供の目的や活用状況をお話しいただきました。今度は、アプリから得られたデータをどのように活用している探りたいと思います。まずは、川名さんからお話しください。
川名:いろんな切り口で活用を進めています。例えば、商品企画の際は、企画した商品が想定したお客様に購買いただけているのかといった仮説に対しても瞬時に検証ができます。また、位置情報でアプリのユーザーが多い地域を探り、出店戦略にも活用しています。

道上:商品企画から出店戦略まで、様々な切り口での活用が可能なのですね。長見さんはどうお使いになるのでしょうか。
長見:アプリ特有のデータの蓄積はまだ足りていませんが、カードでの購買データについては、膨大な蓄積があります。これらのデータが社内で様々な活用が行われるよう、他部署に対する啓蒙活動を積極的に行っています。実際に社内のたくさんの人が活用しないと、宝の持ち腐れになってしまうので。
道上:村上さんはいかがですか。
村上:弊社のアプリでは、初回起動時に郵便番号と市区町村などの属性情報を入力いただいています。その属性情報と購買データを組み合わせ、ポスティングを行う地域やチラシのクリエイティブなどの改善に使っています。
部署間でのデータの活用が進みつつあるので、各部署に裁量を担保した上で、データの分析や活用がしやすい基盤の整理をしています。
道上:データがあると、様々なことが見えてきますね。
長見:というより、見れば見るほど謎が深まります。
川名:確かにそうかもしれません。データから答えが勝手に出てくるではないですからね。いろんなことが見える分、仮説を立ててデータを見ていかないと、自分の求めていた答えにたどり着けなくなってしまいます。
アプリは重要、でもそれより大事な「目的」
道上:最後に皆さんから、アプリ活用をしたいと考えている方に向けてアドバイスを頂きたいと思います。では川名さんお願いします。
川名:セッションのテーマの逆を突いてしまうようですが、正直アプリから入るのはどうかなと思っています。自社の店舗やブランド、会社の課題は何か考え、その課題解決にアプリが必要であれば選択すればいいと思います。
道上:どう使うのか、目的ありきで導入すべきということですね。村上さんはいかがでしょうか。
村上:アプリは強力なツールの1つですが、接客の延長でしかないと思っています。あくまで中心は接客でありお客様だということを認識して、その中でアプリやWeb、SNSで何をするかを考えることが重要ですね。

道上:長見さんはいかがでしょうか。
長見:スマートフォンはお客様がほぼ24時間身につけている、もはや体の一部といってもいい。そう考えるとアプリは重要な顧客接点です。ただ、様々なアプリがしのぎを削っているので、中途半端に作っても競争に勝てません。
ですので、しっかりと差別化されたオンラインサービスをつくることと、魅力的な会員プログラムをつくることを並行して進めていく必要があると思います。
川名:データベースももちろん、そもそも店舗やブランドの魅力が高いからアプリがダウンロードされるわけで、まずそこに注力したほうがいい。アプリの話ではないですが、重要な視点だと思います。
道上:ありがとうございます。お話を伺って、自社の魅力や課題が何かを考え、それをアプリにどう活かすかが重要なのだと感じました。本日はありがとうございました。