サービスは縦割りではない、学び続けられる環境を作りたい
冒頭に記したように、Schooでは現在、個人向けにサービスとして無料のオープン学生、サブスクリプションのプレミアムサービス、マスタープランの3種が用意されている。これらの商品の差別化はどうしていくのか。大迫氏に訪ねたところ、Schooではサービスを縦割りに仕切るのではなく、グルグルと回遊をしてほしいのだという。
「ユーザーの流れでいうと、生放送授業などを起因として会員登録をしてオープン学生になって、うち、何割かがプレミアム学生に転換する。そこからマスタープランをご利用いただいて、人生を変えていくという想定をしています。ですから、それぞれの特性をきちんとわかりやすく伝える必要はあります。
ですが、私たちは世の中から卒業をなくしたいわけですから、マスタープランを修了したら終わりとはしたくない。たとえば、webデザイナーにジョブチェンジしたとしても、仕事を続けていくためには常に新しい情報が必要です。そこで、継続的な学びの場として再びSchooを利用で新しい領域の学習や学習の継続をしてもらいたいと考えています」(大迫氏)
となると、同サービスのマーケティングで一番重要になってくるのは、新規層の獲得だ。そのため、現在はマスタープランに限らない顧客創造の企画を進めている。たとえば、これまでにない授業づくりもその一環だ。
これまでのSchooの授業企画は、Web/IT領域に興味を持った未経験層から、既に何らかのスキルを持つプログラマーやデザイナーが求めるコンテンツを軸として提供されてきた。そうではなく、webやITに興味がない人が興味関心を持てる授業を用意することで、新規層を獲得していきたいという。
実際にサービス5周年のタイミングで4日間「特別授業」を開講した。地方で働くwebデザイナーをテーマにした番組にイケダハヤト氏が登場したり、プログラミングの魅力を伝える番組に人気ラッパーのACE氏やトータルテンボスの藤田 憲右氏がしたりするなど、一風変わった構成だった。
既に、特別授業から登録したユーザーがアクティブな動きを見せているという。「今後はユーザーの行動についてプレミアムに転換するタイミングや、離脱してしまうタイミングを分析し、授業の改善につなげていきたいですね」(大迫氏)
マスタープランのユーザー獲得については、オンラインの説明会を受けて、資料請求をして、オフラインの説明会を受けてコンバージョンするという流れが見えてきているため、今後はマーケティングオートメーションツールの導入も視野に入れている。「メールを用いたリマインドや、説明会の動画コンテンツ提供などの仕組みを整えて自動化できればと考えています。単純に広告出稿をして獲得するのではなく、Schooならではの動画学習のコミュニケーションを通して学生さんを募るという、Schooらしい進め方で拡大していきたいですね。」(大迫氏)
インターネットを通して人生を変えるためのサービスを提供し続けるSchoo。マスタープランのチャレンジがどのような結果を収めるのか。また、どのような展開を見せるのか。今後も引き続き動向を注目していきたい。