Facebookでのエンゲージメントが高い理由
トランプ氏が獲得した膨大な数のエンゲージメント、その大半を獲得しているプラットフォームがFacebookです。日本とは違い、アメリカでのソーシャルメディア利用はFacebookが1強状態になりつつあります。

※出典: Digital in 2016 - We Are Social UK(P507,http://wearesocial.com/uk/special-reports/digital-in-2016)
ソーシャルメディアの利用者がFacebookに偏っているので、最初の図でもFacebookがエンゲージメント数の中心を占めるのは当然の話です。
さらに、大統領選挙が「ニュースメディア」を介して広がる種類の情報であるために、よりFacebook中心のエンゲージメントに偏っているという側面もあります。なぜなら昨今、各ニュースメディアではWebサイトの訪問者数が減少傾向にあり、こぞって自社Facebookページを運用して自社メディアへのトラフィックを確保しているからです。
Facebookのアクティブ利用者の増加とともに、メディアのFacebookへのコンテンツ供給体制が強化され、より一層Facebookの情報ソースとしての存在感が増したという訳です。
このように、多くのアメリカ人がFacebookを日常の情報ソースとして多用する中、Facebook上での「デマ」記事の拡散がクリントン氏を窮地に追いやったと指摘するジャーナリストが現れました。
アメリカでは、これまでも真偽不明なニュースが、一部作為的にソーシャルメディアに流されているという問題は認識されてきました。しかし、その「デマ」記事を馬鹿にできない状況があります。今や無視できない割合のアメリカ人が活発にFacebookを利用しており、さらに、成人の40%以上がFacebookからニュース情報を取得しているとも言われているのです(the Pew Research Center and the Knight Foundation発行の調査レポートより)。
ザッカーバーグ氏が言及するFacebookの影響力
そのFacebookのタイムライン上にあがった「デマ」情報は、その情報を受け入れやすい属性や考え方が似た者同士で「いいね!」と言い合うことで拡散され、真偽を吟味されることなく、まるで既成の「ファクト」のように認識され、大統領選挙の結果にさえ影響したのではないかと指摘されているのです。
このような、Facebookによる大統領選挙への影響については、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が「TECHONOMY 2016」にて、「Facebook上のデマ情報が選挙に影響を与えたとする考え方はクレイジーだ」と反論しています。
その後に、自らのFacebookアカウントでも一連の騒動について改めて言及しました。

ここでは、「Facebook上のコンテンツの99%以上は信頼できるものである。またデマ情報は、どちらの政党にもあり、一方に偏ることはない。総合的に見ると、間違った情報が選挙結果を左右したとは考えにくい」との見解を発表しました。しかし、同時に、事実として、一部デマ記事が流通したことを認めています。