ビズリーチはスカウトメール改善のためマルケトを活用
続いて登壇したのは、ビズリーチ ビズリーチ事業本部プロダクト・マーケティング部 プロダクトマネジメントグループリーダー 冨里晋平氏。冨里氏のテーマは、BtoC分野におけるマルケト活用事例についてだ。
ビズリーチは、転職希望者が自らの手でレジュメを登録し、企業からのスカウトを受けることができるサービスで、管理職やグローバル人材などの即戦力人材が登録していることで知られている。実は同社は、2015年より採用企業向けのBtoB分野においてマルケトを導入しており、現在はインバウンドでのアポ取得率が旧来の17%から29%へと向上したそうだ。
今回冨里氏が語ったのは、転職希望者に対するマルケトの適用事例だ。具体的には、登録している転職希望者に対しメールでビズリーチの利用を促し、企業からのスカウト数獲得とその返信数を向上させるというもの。同社では事業のKPIとして、「登録している転職希望者からのスカウト返信数」を掲げており、この向上支援のためにマルケトを活用したという。
「スカウト返信数を上げるには、そもそも企業からのスカウトメールを受信しなくてはなりません。そこでマッチング数を上げるべく、あまりスカウトを受けていない会員約5万人に対し、ビズリーチ自体の利用を促すメールを送ることにしたのです」(冨里氏)
スコアリングやステージ設定機能を使わずKPI向上を実現した理由
冨里氏によると、マルケト導入以前にもビズリーチ促進に向け、4ヵ月以上アクセスのないユーザーに対し、アクセスするとインセンティブを進呈するという内容のメールを送信したことがあるという。しかし、思うように利用が進まなかったそうだ。
そこで冨里氏はマルケトを導入し、各利用者の転職活動プロセスに沿って適切な情報提示を試みたほか、スコアリングによってメール送付対象をセグメント化し、状況に合った個別対応ができないかを検討した。だが結果として、どちらもうまくいかなかったという。
「転職活動プロセスも、ビズリーチならではの複雑なプロセス要件があり、それをどのように反映させれば良いか悩みました。またスコアリングにしても、マルケトを使えば個人のWeb訪問履歴やメール閲覧・開封率は計測できますが、レジュメの内容やスカウトの受信数、開封数、ヘッドハンターへの相談数といった独自データもあるので、これらの情報をどう活用してスコアリングすべきか分からなかったのです」(冨里氏)
解決策として考えたのが、アクセス履歴やスカウト受信件数などをもとにデータを抽出し、セグメント化するという施策だ。具体的には、「直近1ヵ月に1回以上のアクセス」があり、かつ「スカウトメールが8通以下」の層でセグメントをかけ、かつ「スカウトを受け取るまでの期間で、検索される数が少ない/閲覧数が少ない」と区分化していったという。
1ヵ月に1度はアクセスしていながら、スカウトが少ないということは、登録ユーザー自身「どうしたらスカウト数が伸びるのか」と悩んでいると考えられる。これに対し、たとえばスカウトマンの検索キーワードとレジュメの間に乖離が見られるのであれば、キーワードに合うように改善策を示したり、レジュメ更新が滞っている場合は更新を促すなどのコミュニケーションを行った。
これにより、メール開封率は従来の5.2倍、開封後のクリック率が2.7倍となったほか、マルケトでメールを配信した登録者のスカウト受信数が3.9倍に伸びたという。さらに、スカウトへの返信メールの量も5.7倍になった。
冨里氏は「成功要因は、BtoCで利用する場合『精緻で大量なデータを基に、個別対応を行いユーザー行動を活性化するツール』と位置付けて活用したことです」と述べると共に、「レジュメを更新した人の情報を優先的に検索結果の上位に表示するようにした」と続け、プロダクトの改善と両輪で施策を進めたことを明かし、これがさらに相乗的な効果を上げたことを説明した。