SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

「デジタルだけでは届かない層にリーチする」 カネボウが自社アプリで目指す、顧客との理想の関係とは


DMを、送るべき顧客全員に届けるために

――店頭からは、スマイルコネクトを通じてどのような情報を送る予定ですか?

 基本的に店頭からの情報は、DMです。アナログでのDMやボリューム課金での通知はコストがかかるので、どうしても数を絞ってしまいます。そうすると、本当に届けなければならない方に届けられているのか、マーケティング的にわからなくなる。正しく数を絞ることで、確かにレスポンス率は高まるのですが、すぐにレスポンスしてくれそうな方にだけ送ってしまっているとも言えます。

 たとえば今日がポイントデーだとして、その情報は一度でも来店したことがある方なら、知っていてもいい情報だと思います。一年に一度しか来店しないお客様だから送るのをやめよう、という考え方を是正できたらいいなと。我々は、情報をお届けしたい方、全員に送りたいんです。そこでボリューム課金ではないオウンドメディアのプッシュ通知を使うことで、送るべき方、送りたい方全員に情報をお届けできるようにしました。

――会員証と連携することで取得したデータを、どのように活用されていますか?

 スマイルコネクトでは会員証をマイカードと呼んでいるのですが、マイカードと連携したことでお客様からご好評だったのは、購入履歴の確認機能です。化粧品は思い入れを持って使う方が多いため、同じ商品を複数購入し、常にストックを確保しているケースも多いんです。また、数量限定品をご予約いただくことも多い。そういった際に、いつ何個購入したのか、きちんと予約できているのかがわかる購入履歴機能があると、安心できるという声を多数いただきました。

ダッシュボードで、分析とともに社内の理解も得る

――データ分析はどのように行っているのですか?

 バックヤードに管理画面を用意しています。この管理画面からコンテンツを登録したりメッセージを配信したりできるのですが、そこにダッシュボード機能を設けています。「店頭集客率パレート」「クーポン利用率パレート」といったように、メッセージがパレートで表示できるようになっています。今はまだプッシュ通知についての分析しかできていませんが、DMPとの連携を進めています。DMPとの連携ができれば、「先月一度もアプリを起動しなかったお客様クラスタ」を作成しDSPをかけていく、というように、アクティブ率向上にも活用したいと思っています。

――社内向けにしっかりCMSが構築されているんですね。更新性を担保するためですか?

 そうですね。ただそれだけではなく、社内への成果の共有という面でも、管理画面を活用しています。関係者を増やさなければデジタルマーケティングは進まない、という認識がありましたので、ログイン権限さえ与えれば誰でも状況を確認できる状況を作りたかったんです。一般的な化粧品メーカー同様、当社もブランドマネージャー制なので、ブランドの担当者にスマイルコネクトが役立っていることを理解してもらわなければなりません。とはいえ毎回レポートを作成することはできませんので、各担当者自身が確認できる環境の構築が重要なんです。

――追っているKPIは、アプリの起動頻度でしょうか?

 あくまでもメーカーなので、どこまでストイックにデータを追うのか決めきれていません(笑)。毎月1回でもアプリを起動していただける方が増えれば、基本的には大丈夫だと思っています。KPIとして、週に2回以上起動してくれる方を習慣化ユーザーと定義付けているのですが、そこを追うためにはスマートフォンのトップスクリーンを争う戦い方になってしまうかと思います。

 実は、店頭でBCが接客する中でアプリを入れていただいた、肌水分センサーをお持ちの方だけを見ると、KPIに近い数値が出ています。

――インストールの段階で、セグメント化されているようなものですね。

 そうですね。だからこそ、スマイルコネクトをインストールする際の入り口と、お客様の満足度を合わせて追っていかなければなりません。データとして店頭での紹介日やインストール日が追えるので、それが同日だとBCが接客中にインストールしたことがわかります。また、アプリの起動状況も追えるようにしているので、DSPなどでリーチした方が、いつアプリを起動させたのかがわかります。つまりアプリの起動を促す広告を配信し、起動というアクションに対するCPAが取れるんです。そのような面での広告効果も追える仕組みにしています。

スマイルコネクトの今後について

――今後はどのように展開していく予定ですか?

 我々としてはメディアを作ったという認識ですので、まずはコンテンツ強化です。役立つ楽しい情報を潤沢に提供する必要があります。これまでは内製してきましたが、どこかの媒体とコンテンツ連携が必要かもしれません。

 また、店頭でBCがお客様に楽しく話しかけられるようなコンテンツも強化したい。現在もマイカード画面に裏技を設定していて、画面のバーコードを2度タップし、その後さらに3度タップすると、季節にあったオリジナルの壁紙がダウンロードできるようになっています。

 カネボウ化粧品のカウンターに行ったら面白そうだとか、アプリだけではわからないことを教えてもらえるかもしれないという期待感を裏切らないシナリオを設計し、お客様に満足いただけるサービスを、会社全体で提供していく必要があると思っています。

――ありがとうございました。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2017/02/27 15:48 https://markezine.jp/article/detail/25787

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング