スマホが肌水分計に! 自社にしかないデータを取得していく
――スマイルコネクトにはどのような機能があるのですか?
ふたつ大きな機能があります。ひとつめは「キレイのヒント」です。二十四節気ごとに、その季節に適したお肌のお手入れ方法をお届けする機能で、毎日情報が更新されますので、その時点で最適な情報をご覧いただけます。
ふたつめは「肌水分センサー」です。当社が独自開発したセンサーを使うことで、お肌の水分量を測定することができます。センサーをイヤホンジャックに挿して、肌に当てることで読み取れるんですよ。
お客様ごとにお肌の状態が異なるので、そのお客様のことをよく知らないと、お手入れ方法などのご提案も難しい。ではお客様をよく知るためにどうするかというと、自社でデータを集めるしかない。そこで肌水分センサーを用いることで、当社にしか提供できない価値を作れるのではないかと思っています。現在、肌水分センサーを用いて集めたデータは「みんなのうるおい」として、お客様の居住地ごとに肌水分平均値をまとめてコンテンツ化しています。
――キレイのヒントでは、肌の手入れ方法以外にどのような情報を提供予定ですか?
まずは、「ワタシゴト化」した情報をお届けしたいと思っています。では、最もワタシゴト化した情報とは何かというと、購入していただいた商品です。購入していただいた商品のJAN別でメッセージ配信できるように構築しているので、まずはそこを活用したいですね。購入した特定商品の使い方が、翌日に自動的に届く。そこには基本の使い方が説明されており、1、2ヵ月後には応用編としての使い方が届く。CRMとして、購入した方が「こんな使い方もあったんだ」と思えるようなフォローがあると良いのではないかと考えています。
――みんなのうるおいも面白いですよね。こちらのマーケティングへの活用方法は?
まだ、測った数値に対してのアウトプットを明確に決めきれていません。その一番の理由は、お客様に自由に使っていただいているので、スキンケア前の数値なのか後の数値なのかが、特定できていないからです。そこは課題ですが、まずは、平均値よりもかなり低めの方や高めの方に対してアドバイスできるよう、データ分析を進めていく予定です。
対面でアプリを紹介するため、デジタルではリーチできなかった層に届く
――正式リリース前に行っていた、テスト運営後の反応はいかがでしたか?
肌水分センサーについてデプス調査を行ったのですが、初めてカネボウ化粧品でご購入いただいたお客様にも、10年ほど継続してご購入いただいているお客様にも、絶大な人気がありました。スキンケア意識が高いお客様ほどスキンケアの効果を知りたいと思っているので、スキンケア後に測定できるという点が喜ばれていました。

データ面ですと、約75%の方にプッシュ通知を許可していただいています。これは、他社に比べてもかなり高いのではないかと思っています。スマイルコネクトは基本的に、店頭でBCがお客様に紹介し、会員証の代わりとしてご利用いただきます。このようにフェイス・トゥ・フェイスでアプリを紹介している信頼感があるからこその数値だと考えています。
スマイルコネクトのアドバンテージは、「人が紹介している」ところです。日頃アプリを入れたことがないお客様にアプリを入れていただいているので、デジタル業界だけではリーチできなかった層に、リーチできているのではないかと思っています。
――店頭で紹介し会員証と連携することで、実店舗での購入履歴とも連動できますしね。
そうですね。店頭来店コンバージョンと来店購入コンバージョンが、一度に取れるプラットフォームになりました。ただし、あくまでもスマイルコネクトの目的はCRM、お客様のカウンセリング強化です。お客様にできるだけ多くご来店いただき、当社が提供するお客さまに「寄り添うカウンセリング」を感じていただきたいと思っています。当社としてはメディアを作った認識なのですが、店頭でのコンバージョンはメディアとしての新たな指標になるかもしれませんね。
