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イベントレポート

MAベンダー3社の本音 成功・失敗あるあるトーク

導入成功・失敗の分かれ道は……

藤原:MAというとオートメーション化も話題に挙がります。一方で、オートメーション化という言葉の響きからか、人が要らなくなると勘違いされる方もいらっしゃるように感じますが、その点はいかがでしょうか。

田崎:人は必要です。その理由は、買う勇気がない人に勇気を与えるためだったり、オートメーションへの投資のためには人が必要だからです。MAに関しては皆さん知っているはずなのに、「自社で導入してますか?」という問いには「していない」と答える方が大勢いらっしゃいます。推進するためには意欲あるリーダーの力が不可決。誰に対してリソースをかけるのか、貴重なリソースの時間をどこに使うか、そういった判断が必要です。

藤原:では、実際にどういったケースにおいてMA導入が進むのでしょうか。

小関:2パターンあります。一つは、Web業務に関わっている方々からのお問い合わせです。広告の最適化やデータ分析はやり尽くした。そういった方々は、獲得したリードを何とかして売上に繫げたいという思いがあります。もう一つは、CRMを既に使っている方々や、営業に力を注いでいる方々。主には営業本部長や営業企画に属している方ですね。

 「商談の勝率が上がってきました」「顧客管理もちゃんとできてきました」というフェーズまでくると、壁にぶつかります。商談の勝率を30%から40%さらに50%へと上げるのは、なかなか難しい。それなら、勝率を上げることにリソースを割くよりも、商談の入り口を増やすほうがよい

藤原:MAに関する事例を通じて、成功・失敗パターンの傾向はありますか?

小関:成功・失敗の分かれ目は、大前提として「やりたいことがある」ことだと思いますね。マーケティングとして何をやりたいですかという点と、それに向けて頑張ってきているか、という問いに答えることができる方は、成功しやすいです。

田崎:MAの世界でこの道30年ですって方、ほとんどいないんですよ(笑)。ということは、まだ始めていない方でも追いつける可能性がある。ただ、今やるかどうかで5年後には相当の差がでている可能性もあります。また、MAはなんのために導入するかというと、本当にやりたいデジタルマーケティングを、理詰めで経営者に説明するためのものでもあるので、そういった意識を持って取り組むことも大切です。

植山:HTMLを知らないと少し厳しいと思います。実際導入する場合Webサイトへの組み込みや、連携させる必要もあるので、そもそもITやプログラミングに対して苦手意識があると、少し辛いかもしれません。

 私たちは中小企業をターゲットとしているので、苦手意識を持った方をたくさん見てきています。そういった方々の傾向からだと、一度苦手意識を克服できれば、それをきっかけにIT自体への苦手意識の克服に繋がるケースも多いですね。

「やりたいことが明確ではない」失敗ケースあるある

熱心に耳を傾けるオーディエンス
熱心に耳を傾けるオーディエンス

藤原:導入支援側として、実際にあった困ったことや失敗談について教えてください。

小関:あるお客様のケースですが、ツール先行で導入を決めてしまいました。「やりたいこと」が明確になっていなかったのです。その後、導入が始まったのですが、いざお客様にやりたいことを質問しても明確な回答が返ってこない。そうなってしまうと、「何がしたいですか? 何ができますか?」のように、話が進まなくなるケースが多い。

 そういった状況を打開するためには、マーケティングコンサル企業さん等のパートナーさんの力が必要です。やりたいことさえ明確になれば、あとは運用やコンテンツ制作のリソースといった実行フェーズの話に進めるので問題ありません。

田崎:よく言われますが、BtoB領域ではマーケティングと営業の間には深い溝があります。そこを埋める役割としてインサイドセールスが必要で、担当者も活用するつもりと口では言うのですが、その割には、器用に使いこなせず「使いたいのか、使いたくないのか、どっちなんだ!」という話になることもあります(笑)。使いこなせないということは、ツールに踊らされている状況と言えるので、まずはそれの改善が必要だと感じます。

藤原:たとえば、「リソースが足りないのでツールの運用もお願いします」というケースはありでしょうか?

小関:ありだと思います。ただ、忙しいとかリソースがないという理由で丸投げにしてしまうパターンだと、間違いなく上手くいきません。本気でやろうと思えばコンテンツだって考えるはずなので。方向性を明確にすることと、丸投げにしないことは必須だと思います。

使い続けることに価値がある

藤原:最後に、会場の皆さまへひと言お願いします。

植山:先ほどの失敗事例の話と繋がるのですが、MA導入の際の期待値は高いと思いますが、私は期待値をなるべく下げようと思っています。「MAとはこういうことで、実際はこういうコンテンツが必要になりますよ。それだけではなくこういった作業も必要ですよ」と、現実に必要なタスクを丁寧に説明しています。本日ご来場いただいた方の中から、ぜひMA導入を推進するリーダーが生まれれば、大変嬉しいです。

田崎:マーケティング領域に様々なテクノロジーが登場していますが、やはり王道を知ることが大切です。王道をきちんと知って推進していくことが重要だと感じます。道具はこれからも進化していくという前提で、未来展望を描けるようなパートナーさんとご一緒させていただきたいです。

小関:私たちは、ツールを売ること自体が目的ではありません。使って成功して、さらに使い続けていただくことに価値があります。これが利用者にとってのMAの価値です。また、良き相談相手としての役割を担いたいです。営業が丁寧に使ってくれなくて困っているとか、新しく登場したツールをどう使うのかとか、相談相手がいると話がスムースに進みます。

 この会場の中でも、1~2名程度しかMAをお使いの方がいらっしゃらないということは、裏を返せば相談に乗れる方々がまだまだいらっしゃるということです。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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この記事の著者

小松 里紗(コマツ リサ)

1988年福岡生まれ。「B dash camp 2016 Spring in FUKUOKA」やテクノロジーとクリエイティブの祭典「明星和楽」、「PUMA presents Training Session -」等各種イベントでMCを務める。西南学院大学卒業後、福岡に拠点を置く外食企業の広報・PRとして勤務。マーケ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/01/24 14:00 https://markezine.jp/article/detail/25936

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