地方自治体の町おこしは、本当に効果があったのか
地方自治体が地元の広告代理店と組んで、町おこしを行うケースは多い。地元をアピールしたポスターや、マスコットキャラクターを見たことがある方も多いのではないだろうか。冒頭で挙げた徳島県那賀町のように、イベントを開催することもある。ここでの課題は、その効果測定だ。本当に効果があったのか。あったとしたら誰に対してなのか。それらを把握することで、次回のアプローチに活かすことができる。
「効果測定を行うとしても、市役所や町役場のサイト見る人はほとんどいません。どこを見られていたら『効果がある』『興味がある』といえるのか。そこで注目したのが、SNS上の口コミです」(下垣氏)

下垣氏の発言にあるように、同社が提供しているクラウド・サービスでは、訪日観光客が旅行中や帰国後にSNSに投稿する口コミの分析が可能だ。主要な媒体はすべて網羅し、多言語にも対応している。また、自社サイトに登録した訪日観光客のパーソナル情報と外部のデータを組み合わせることで、よりパーソナライズされたエンゲージメントが可能になる。
「ファーストパーティデータは自社内のデータベースの中にありますよね。そこに我々がDMPでもっているサードパーティデータを組み合わせるんです」(下垣氏)
ユーザーの年齢や性別といった属性情報に加えて、オンラインでの行動情報も含めて興味・関心を判断することで、より適切な情報を提供することが可能となる。よりパーソナライズされた情報を提供することで、ユーザーのエンゲージメントを高めることができるのだ。アイルランドの国営校航空会社Aer Lingusの事例では、パーソナライズされた旅情報を提示することでメール経由の売り上げが132%となり、業界平均を大きく上回ったという。

「ファーストパーティデータをどうコントロールするかは、非常に重要です。その一方で、プロファイルが取れるデータはその他にも多くあります。それらを必要に応じて繋げてお客様の理解を深め、必要なタイミングで、パーソナライズされたデジタルコンテンツとして送付する。それは、受け取るユーザーにとっても嬉しい体験になるはずです」(下垣氏)
クロスチャネルで適切なタイミングでエンゲージを
パーソナライズはコンテンツ面だけでなく、媒体面でも進めるべきだ。PULL型としては、Webサイトのコンテンツをユーザーの年齢層や趣味趣向によって出し分ける。PUSH型としては、ディスプレイ広告なのかソーシャル広告なのか、一人ひとりのユーザーにとって最適な方法でアプローチをすることが重要だ。
「たとえば店頭での接客でも、丁寧に対応されるのが好きな方もいれば、話しかけられることすら嫌がる方もいます。情報提供においては、そのユーザーに最適な形、タイミングで伝えられるかどうかが最も重要なのです」(下垣氏)