BtoC企業が持つアプリのゴールは3つしかない
先述のような例、読者の皆様も思い当たる節があるのではないでしょうか。
リリース後のアプリでよく起きる問題の大半は、自社におけるアプリのゴールが定まっていないことが大元の要因にあります。
では、自社の事業を伸ばす上で、アプリのゴールはどこに置くべきでしょうか?
消費者と直接接点があるBtoC企業におけるアプリのゴールは「プロモーション」(集客)、「セールス」(販売)、「リテンション」(顧客維持)の3つに大別されます。この3つのうち、どこにゴールを設定するかを決めることが、自社ビジネスへのアプリ活用の第一歩になります。
なぜアプリのゴールを先に決めるべきかというと、3つある役割のどれを果たすかに応じて重視すべきKPIや実装すべきアプリの機能などが変わってくるからです。逆にゴールが定まっていないと、先の例で挙げたようにユーザーに提供する価値が曖昧になってしまいます。
3つのうちどれを役割としたアプリにするか決めてからアプリを企画することが重要
集客をゴールに、求められる機能とKPIは?
ここからはBtoC企業におけるアプリの3つのゴールについて順に解説していきます。
アプリのゴールを1つ目の「プロモーション」と位置づけた場合、アプリは企業広報や自社商品の宣伝など、潜在顧客を見込み顧客にするマーケティング活動の一手段として用いられます。
実店舗を持つ小売企業のアプリを例に考えてみましょう。アプリに期待されている役割はアプリ経由で店舗に来店する顧客数を増やし、店舗売上の増加に貢献することです。アプリ単体で収益を上げることは重要ではなく、アプリの役割はキャンペーンを認知してもらうことや、アプリ経由で商品を予約してもらうことなどになります。
アプリ経由の店舗売上を構成する要素を分解すると以下のようになります。
KPIと施策の例
アプリ経由の店舗売上をアプリのゴールとした場合、店舗売上を構成する要素はアプリ経由での来店者数、店舗での商品購入率(CVR)、1顧客あたりの平均購入単価(ARPPU)に分解することができます。
このうち特にアプリを活用して高めることができる指標は来店者数であり、アプリをきっかけとした来店者の数を高めるために、位置情報を用いて店舗の近くをユーザーが通りかかるとプッシュ通知を送る施策や、店舗で使えるアプリ限定のクーポンを配信するといった施策が考えられます。
たとえば業界最大級の中古車掲載数を誇るポータルサイト「グーネット」を運営しているプロトコーポレーションは、ポータルサイトに加えて同名の中古車検索アプリを提供しています。希望条件の車の新着物件情報だけを受け取ることができるプッシュ通知を送るなど、来店促進にアプリを活用しています。
アプリから中古車の検索・見積もりができ、最寄りの店舗検索も可能
