即時広告配信プラットフォーム「chalk_spreAD」とは
-貴社では今年1月より、新たな広告配信プラットフォーム「chalk_spreAD」の提供を本格的にスタートされました。本サービスでは、どのような広告配信が可能になるのでしょうか。
榎本:「chalk_spreAD」ではまず、各企業担当者に権限を与えます。権限を与えられた担当者は、バナー広告をどこに配信するかを指定し、指定した日時・ロケーションでアプリやスマホサイトを利用している人だけを狙ってバナー広告を配信することができます。カフェなどで、よくチョークボード(黒板)に今日のオススメなどが書いてありますよね。そのホットな情報を目の前の人だけでなくデジタルで、より地域の人々に配信できるというイメージが、サービス名の由来です。
配信の際は、日時、予算、インプレッション数、ターゲット、エリア、バナークリエイティブ、ランディングページの7項目を指定し、即時考査へと進みます。考査を経て配信された後は、ダッシュボードでリアルタイムに効果測定が可能で、次の配信プランに向けたPDCA機能も実装されています。バナーのインプレッションやクリックが取れた場所を複数のマッピング機能で可視化することで、売り場担当者やブランドマネージャーにはそのエリア特有の知見が蓄積され、チラシや交通広告とのシナジーとしてバナー配信を効果的に活用することができます。
エリアマーケティングとRTBの組み合わせを実現
-このサービスは米国のChalk Digital社と協業なさっていますが、 その狙いと経緯についてお聞かせください。
榎本:電通テックは、旧来よりエリアマーケティングも手掛けており、チラシやポスティングを印刷も含めて扱っていました。しかし昨今では、価格競争が進み、また新聞を読まない若い層に折り込みチラシが届きにくくなっていることもあり、こうした状況を打開すべく、「エリアマーケティングのデジタル化」が、社としてもテーマでした。そうした折、2年ほど前に打ち合わせをしたことがある、Chalk Digital社のサービスアイデアを思い出したのです。
同社については以前から把握していたのですが、エリアマーケティングとRTB(リアルタイムビッディング)の組み合わせが形になりそうな機運が出てきたタイミングを見計らって、2016年2月ごろから本格的に開発をスタートしました。また、このタイミングでChalk Digital社も日本のマーケットを狙って進出するところでした。米国本国での実績をベースに、日本のマーケティングに合うプラットフォームとして 共同開発を進め、本格的に提供をスタートしています。
8,300億の「アナログ広告」市場に、デジタル移行を促す
-実店舗において、デジタル化への課題も把握されていたのですか?
榎本:そうですね。折り込みやDMは、約8,300億円のマーケットがあるとされていますが、その領域にデジタル化の流れが必ず来ると考えていました。
たとえば車のディーラーなどにしても、実店舗で集客を行う際に何を使っているかというと、やはり今でもチラシが圧倒的多数です。ドラッグストアやスーパーなども同様です。もちろん、チラシで実感を得ているクライアント様も多いと思うのですが、 どこかで効果が見えなくなっている、デジタルシフトも視野に代替プランも検討したい、 そんなクライアント様の課題を我々も感じています。 弊社としては、チラシをやめるという提案ではなく、チラシもやりつつ補完として、 効果測定ができるデジタル手法も紹介していきたいと考えています。
2分でわかる「chalk_spreAD」の機能
エリアターゲティングに特化した、電通テックの即時広告配信プラットフォーム「chalk_spreAD」の動画を配信中!記事とあわせてぜひ、ご覧ください! 動画はこちらから。
直感的な操作と、「想定インプレッション数表示」
-chalk_spreADは、どのように運用するプラットフォームなのでしょうか?
榎本:いわば運用型広告なのですが、誰にとっても「説明書のいらないプラットフォーム」を目指しました。
必要に応じて、配信情報は配信中にも変更できます。複雑な操作を必要としない、ワークフローに沿った自然な流れを意識して作っています。
ここで、配信設定を行うクライアント様にとって不安材料となるのが、「このエリアで一体どれくらいのインプレッションが取れるのか」がわからないという点です。
たとえば「ある駅から半径2キロ圏内で、1日10万インプレッションの想定で10日間の配信をしよう」としても、配信結果は想定通りにはいかないこともよくあります。そこで我々は、プラットフォーム上で配信希望エリアを指定すると、そのエリアでの想定インプレッション数をその場で換算し表示する機能を導入しました。そうすれば不適切なインプレッションの設定において「目標値に到達した、しない」で一喜一憂することがありません。想定インプレッション数の表示はクライアント様にとって配信数の目安となり、プロアクティブな戦略的ご利用が可能になると考えています。
-エリア広告の配信は、全国どこでも可能なのですか? また、全国どこでも想定インプレッション数を計測できるのでしょうか。
榎本:どちらも可能ですし、海外でも配信できます。 たとえば先日、バンコクでテスト配信をいたしました。 弊社の海外グループ事業会社であるプロモテックグループのクライアント様にご協力をいただき、試験的に3日間で10万インプレッションをバンコクの中心地で配信したところ、想定以上の配信結果が得られ、手応えを感じています。
打った直後から効果がわかる! リアルタイムな効果測定
―アナログのチラシと大きく異なる点はどこですか?
榎本:機動的な配信をその場で即決できる点ですね。どうしてもアナログチラシですと、あらかじめプランを決め、ポスティングやサンプリングの日程調整が必要になります。配った後の効果検証も難しいですよね。
当サービスでは、配信エリアをいつでもフレキシブルに変えられます。一度やればその効果検証についてはリアルタイムに取れますから、反応が良くなければロケーションを変える、といったことが迅速にできます。
マッピングも、「ヒートマップ」や「クラスターマップ」など、用途に応じて何種類もの表示が可能です。多数のインプレッションが出た場所とクリックが取れた場所を照らし合わせてみると、何かしらの法則がわかるかもしれません。たとえば、駅前などではユーザーが足早に移動中のため、インプレッションが出ても、 クリックへのアクションにはつながりにくいなどの傾向もあり得ます。 クライアント様にも、こうした活用を提案していきたいですね。基本的にはエリアを俯瞰で見た時にどのロケーションのポテンシャルが高いのか、一部だけ濃い場所があった時は、その要因を探るべき気づきにもなります。
単なる広告ツールとしてだけでなく、売り場の店長やエリア統括マネージャーなどが、地域の各エリアを知ることにおいて有効なツールとしても利用できるでしょう。商売は、エリアを知ってこそだと思います。これまで肌感として「うちはいつも、何時から何時にお客さんが多い」といった具合に蓄積してきた勘や経験を、これからはデータにして残しておくことができるのです。
2分でわかる「chalk_spreAD」の機能
エリアターゲティングに特化した、電通テックの即時広告配信プラットフォーム「chalk_spreAD」の動画を配信中!記事とあわせてぜひ、ご覧ください! 動画はこちらから。
取得データを共有しながら、新たなターゲットを探る
-RTBの広告はいつ、どこのアプリに出たかがわかりにくい面がありますね。どこに出たのか、具体的に知りたいクライアントも当然いますが、こちらから満足のある回答ができないこともあり得ます。
榎本:我々としては情報をガラス張りにし、「いつどのアプリに出稿したか」なども リクエストがあれば開示いたします。広告の配信状況をリアルタイムでモニタリングし、 クライアント様の納得がいく形で一緒に戦略を考えていくというのが我々のスタンスですね。ここは特筆すべき点かなと考えています。
-今後、特に注目している利用方法はありますか?
榎本:最近ですと、スマートフォンを持った顧客が渡航先でも使うケースが考えられます。たとえば、「ホノルルにいる日本人旅行者」という限定されたターゲットに配信したい場合、OSの言語を日本語に限定することで、そのエリアにいる日本人旅行者に配信可能です。これらの機能はこれまでなかったと思います。しかも、ホノルルから離れた日本のオフィスから配信設定ができるわけです。
また逆に、訪日旅行者に対しても、OSの言語情報をキーに配信することも可能です。たとえば、中国国内のモニタリングで獲得したMAID(Mobile advertising IDs )が、 日本で確認された時は「この端末は今、日本に来ている」とわかるわけです。ある時期にどこにいて、今どこにいるか。ある時期の点同士を結びつけることで把握できます。また、旅行前の一定期間にあらかじめ母国で配信しておいて、刷り込みをしたうえで旅行中にリターゲティング配信する、という戦略も可能になります。
「chalk_spreAD」の広告配信では、このようにいろいろなシナリオが可能です。知見を蓄積し、ビックデータとして顧客獲得につなげていける。このマーケティング視点が、単なる広告配信にとどまらないポイントではないでしょうか。
2分でわかる「chalk_spreAD」の機能
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