共通の話題をきっかけに、自然と距離を縮める
MZ:関心領域に寄り添う、とは、具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか?
沖野:食事の話をしているのに、急に新車の話が割り込んできたら構えてしまいますよね。そうではなく、食に興味がある人が集まるところにレクサスがふと隣に座り、同じ食の話題を切り出して、そこから自然とレクサスのブランド、自動車に近づいていく動線を作っています。まだエンゲージメントを築けていない人と接触するプラットフォームとして、antenna*は非常にすばらしいと思っています。
MZ:なるほど。最初にantenna*でコンタクトを取って、レクサスのオリジナルコンテンツへ誘引するんですね。
沖野:レクサスのブランド施策へリンクさせることが多いですね。具体的には、Webマガジン『BEYOND BY LEXUS』の記事や表参道のブランドスペース「INTERSECT BY LEXUS」、国際デザインコンペティションの「LEXUS DESIGN AWARD」などがあります。この他にも、様々なブランド施策でantenna*を活用しています。
外部パートナーとのタッグで知見を貯めていく
MZ:ちなみに、antenna*とはいつごろからパートナーシップを組んでいるんですか?
沖野:「INTERSECT BY LEXUS」のオープン時の出稿が最初なので、2013年秋からで、もう4年間のお付き合いになります。
ユーザーの反応も参考になりますが、レクサスの記事に触れた人の属性分析や、他に見ている記事、嗜好するメディア、キーワードといった情報は、レクサス全体のコミュニケーションの検討にも役立ちます。メディアやユーザーの変化とそのスピードを考えると、もう自分たちだけでマーケティングするには限界なので、積極的に外部パートナーと組んで知見を貯めていきたいと考えています。
MZ:では最後に、今後の展望をうかがえますか?
沖野:ラグジュアリーライフスタイルブランドとしての認知とともに、皆さんを明るい未来に連れて行くビジョンを持ったブランドだと認識していただきたいと思っています。2017年1月に発表した新型「LS」が最先端の運転支援技術を導入しているように、プロダクトを通しても未来の形を示していきたいですね。
また、デジタル戦略の中の1つとして4月18日、UIの改善とOne to Oneコミュニケーションの実現を目的にしたサイトリニューアルを行いました。設計する中で気を付けたのは、UXとデータ活用の2点です。UXはユーザーの興味関心ごとやユーザーのステージ(購入検討か購入検討段階ではないか)を考えて設計しました。データ活用に関しては、デジタル上で得られるデータを様々なブランド施策でも使えるよう、蓄積から可視化までできるものを構築しました。
今後としては、ユーザーの興味関心ごとに興味を持ってもらえるよう、デジタルコンテンツ制作もさらに加速化させていきます。中でも特に注力したいのは、動画です。テレビCMでも、生活者がそのタイミングで自分のスマホを見ていると15秒は一瞬で、特にレクサスに興味がない人は気づかないので、長尺でじっくり伝えていかないと今の時代は厳しいと感じています。Webムービーなら数分の尺で豊かにブランドを表現できるので、最適な伝え方を探っていきます。