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デジタル広告の適切なROI評価~アドベリフィケーション最新動向

広告効果検証の現状と課題【アドベリフィケーション最新動向】


グローバルとの比較で見るデジタルメディアが抱える課題

 デジタルメディアが抱える課題について、各国と日本のベンチマークを比較してみましょう。下記は、データ量が圧倒的に多く、純広告、プログラマティックがバランスよく共存する米国のディスプレイ広告のベンチマークです。

 左からブランドリスクの可能性があるサイト(アダルトやヘイトスピーチ、偽ニュースなど、ブランド毀損につながるサイト)への配信率、ビューアビリティ(MRC基準である広告50%が1秒以上表示)が確保されている率、不正インプレッション(ボットによるインプレッションの違法増幅)による配信率です。

 どの指標もプログラマティックと比べ、純広告枠(Publisher Direct)のほうがパフォーマンス、クオリティともに高いことがわかります。しかしながら、プログラマティックが危険というわけではなく、信頼の置ける計測ツールや改善ソリューションを導入することで、ブランドリスクや不正インプレッション、ビューアビリティを大幅に改善することが可能です。

 次に動画広告です。

 ビューアビリティの定義がディスプレイより厳しいため、必然的に低い数値が出てしまうことは想定範囲内ですが、特筆すべきはブランドリスクと不正インプレッション両方でPublisher Directがディスプレイを上回る点です。

 考えられる要因は以下の通りです。

  • ブランドリスク:Publisher Directに含まれる優良サイトでも動画にはコメント欄が多く存在し、コメント内でブランドリスクに該当する問題が検知されてしまう
  • 不正インプレッション:動画CPMはディスプレイCPMより高いため、金銭目的で不正ボットなどを運用するボット製作者(Fraudster)の標的になりやすい

 では、日本はどうか? 下記が最新のベンチマークデータです。

 ビューアビリティはグローバル各国と比べ、若干低い水準にあります。要因の一つとして、ノンプレミアムなサイトに頻繁に見られる「広告枠の多さ」が考えられます。

 弊社では広告面に対する枠の多さを指標化しており、キャンペーンごとのデータ確認が可能であり、それによると日本の「アド・クラッター(広告の多重配信)」の平均はグローバルに比べ高い傾向にあり、「Very Cluttered(ひとつの面に対して10以上の広告枠)」に当たるページの割合が多くを占めます。

 その結果、同一キャンペーンの同一広告が意図せず同じ面に同じタイミングで出てしまう、「アド・コリジョン(広告の重複掲載)」も併発し、最悪の場合、ビューアビリティの低い枠に同一キャンペーンの広告が5個以上掲載されているケースも多く見られます。

 次に不正インプレッションですが、日本の不正インプレッションはグローバル各国と比べても高い水準にあります。日本のデジタル広告予算が米国を除く各国と比べて高いことが狙われやすい要因の一つですが、同時に不正インプレッション対策の浸透率の低さも挙げられます。

 ただし、この6.7%という数値は対策をまったく講じていない場合であり、しっかりと対策がなされ、検知・排除ができているキャンペーンに関しては、不正インプレッションは全体の1%以下に抑えられていることを、改めて強調します。

 最後にブランドリスクですが、国内のデータはグローバル平均より若干低めに出ています。低いとはいえ、何千万、何億インプレッションもキャンペーンにおける6.9%なので、相当数の広告インプレッションがアダルトサイトやヘイトスピーチ、公序良俗に反するサイトに配信されていることになります。

 こうしたインプレッションは確実に排除されるべきであり、それにより「浮いた」予広告予算を、優良なコンテンツへの配信に配分することで、より効果的なブランドメッセージの伝達、そしてキャンペーン全体の最適化が実現できるのです。

 以上がアドベリフィケーションを取り巻く現状の国内外の状況と背景に関する弊社の見解です。次回はこれらの点を踏まえ、なぜ検証が今必要とされているかについて解説します。

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この記事の著者

山口 武(ヤマグチ タケシ)

Integral Ad Science Japan株式会社 アカウント・エグゼクティブ

ニューヨーク大学ティッシュ芸術学部卒。2006年、Oddcast, Inc. 入社。2008年、Experian Marketing Solutions, Inc(ニューヨーク本社)にて大手広告主のマーケティングキャ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/12/29 14:27 https://markezine.jp/article/detail/26341

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