戦略通りに進めるために必要な編集方針
メディア戦略が決まったら、コンテンツ戦略、企画戦術を決めていきます。大きいレイヤーから決めていくので、メディア全体の意思がぶれにくくなるのです。そして全体の形がある程度定まったら、今までに考えたことの骨子をまとめた「編集方針」を作ります。

しっかり戦略を作っても、それが編集長一人の頭の中にあるだけでは意味がありません。メンバーが「この企画、うちでやるべきかな」「あの人に寄稿をお願いしたいけど、うちのカラーに合うかな」などと迷った時に、メディアの価値観を確認できないとどうなるか。個人・部門での場当たり的な判断によって、メディアの統一性は失われ、よくわからない雑文の山になってしまいます。
「編集方針」は、メディア戦略・コンテンツ戦略・企画戦術などの理念と、記事ライティング・編集などの行動原則をまとめたものになります。迷った時には、「編集方針」というナビを見ればいいわけです。メディアがどんな役割を持っていて、なぜ存在し、目的は何かがわかれば、その中でどう判断すべきかが明確になります。
方針を見つめ直す場「方針会議」
つまり、編集方針に「メディアの目的」があることで、記事制作もうまくいくわけです。また、編集方針を見直す場も重要です。メディアを運営しているメンバーで編集会議をしていくと、企画内容を詰めるところに必死で、なぜそのコンテンツを出すのかといった「目的」を考えるのがおざなりになってしまいがちです。
ですので私は、編集会議とは別に「方針会議」を定期的にセッティングすることをおすすめしています。「方針会議」のテーマは今後の方向性を話し合うこと。関係者一人ひとりの意見を聞きつつ、編集長などのトップがメディアの方向性を見出す場です。
内容としてはざっとこのような項目をもとに会議を進めていきます。
・中長期的に見たメディアの方向性
・方向性から見出すターゲットへのコンテンツ提供方法の模索
・自社とユーザーのコミュニケーションマッチング度合い
・そもそものメディアの目的
これらの議題を用意し、メディアの目的を関係者間で振り返り、目標とゴールを達成した瞬間を考える。モチベーションの低下・目的意識の欠如などの精神面をケアするとともに、組織全体の統率を回復し、戦略からのズレを補正していきます。