2017年6月8日、エクスペリアンジャパン株式会社クロスチャネルマーケティング事業は、チーターデジタル株式会社に社名が変わりました。リリースもご覧ください。
「いいものを作れば売れる」が通用しない時代の売り方とは
1943年に設立された三陽商会は、「真・善・美」という社是を掲げる総合アパレルメーカーで、「最高のものづくり」を長年にわたって追求してきた。2013年からは「世代を超えて永く愛される」というテーマを掲げ、"日本における匠の技にこだわったものづくり"を結集させた「100年コート」というブランドを展開し、日本ファッション産業協議会による「J∞QUALITY」認証の第1号にも輝いた。
だが市場は大きく変化し、もはや「いいものを作れば売れる」時代ではない。三陽商会でIT戦略本部ウェブビジネス部オムニチャネル推進支援グループ長ディレクターを務める安藤裕樹氏は、「『いいもの』の価値を顧客体験として提供できないと、お客様は振り向いてくれません」と語る。
安藤氏は1992年に三陽商会へ新卒として入社後、一度同社を退職。2005年からは大手通販会社でECサイトの立ち上げに携わりノウハウを積んだ後、2016年に三陽商会に再入社、現在はECを中心に同社のデジタルマーケティングを担当している。そんな安藤氏が重視しているのが「顧客体験の提供」だ。
「弊社の場合、『いいものを作れば売れる』というメーカー気質が強かったため、一方通行で単発的なコミュニケーション施策を行いがちでした。顧客管理システムも、ECと店舗で別々に運用しており、顧客に対して会社として一貫したサービスを提供できていませんでした。ひとことでいえば、今の市場に対応できていなかったのです」と安藤氏は振り返る。
こうした状況を打破するために安藤氏ら三陽商会のマーケティングチームが着手したのが、オムニチャネル戦略の推進だった。
店舗とECの顧客DBを統合し、満を持してMAツール導入へ
「オムニチャネル戦略」とはいっても、「オムニチャネルを推進せよ」というトップダウン的な指示が最初にあったわけではなかった。最初は、自社のマーケティング活動に課題意識を持つ社員が集まり、終業後に酒を酌み交わしながら「こういうことをやっていったらどうか」とアイデアを持ち寄った。そこから社内でワーキンググループを立ち上げ、ボトムアップ式に社内の理解を集めていき、予算を獲得して数々の施策を実現したのだという。
社員たちが自発的にオムニチャネル戦略を提唱した背景には、「多様化・複雑化したお客様の情報収集や購買行動に対応しなければならない」という危機感があった。こうした現状認識のもと、顧客行動に寄り添ったコミュニケーションを目指すために、「様々なメディアやチャネルを活用して『顧客体験の向上』を実現していくこと」を目標として定めた。
具体的には、店舗とECをまたいだ在庫管理システムを充実させて「お取り寄せ購入」や「取り置き予約」に対応することや、店舗およびECの顧客データベースの統合、ロイヤルティプログラムである会員ステージサービスの導入といった取り組みを推進してきた。
このように2016年までは、システムやデータベースの構築・一元化を中心とした「オムニチャネル基盤」の整備に取り組んできた三陽商会。今年から、この基盤を本格的に活用し、顧客体験向上に向けての取り組みを加速度的に推進するために、マーケティング・オートメーション(以下、MA)ツールを導入。選定したのは、メール・LINE・アプリなど様々なチャネルにおけるメッセージ配信に定評があるチーターデジタルの「Cross-Channel Marketing Platform」(以下、CCMP)だった。