キャンペーンの効果改善につながる適切なKPIの考え方
では既存の問題を可視化・解決した後、次に必要なのは何か? それは継続して効果的なキャンペーンを運用していくための健全なKPIの設定になります。
広告キャンペーンとして大切なことは、コンバージョンや認知度への貢献だということは以前にも書きましたが、そういった本当の意味での費用対効果に貢献するKPIをデジタルでも設定することが重要です。
KPIと課金モデルは直結しているところもありますが、現在流通しているものは大きく3つあり、CPM(インプレッション課金)、CPC(クリック課金)、CPA(コンバージョン課金)となります。しかしながら、こういった現状のKPI・課金モデルにはそれぞれ落とし穴が存在しています。

CPMに関しては言うまでもなく視認性のない広告枠、インプレッションが発生していても見られる可能性が極端に低い枠になります。
CPCやCPAに関しては以前も不正ボットからの偽装が含まれてしまう可能性に関しては以前記載したとおりですが、クリックしていなくても購入するユーザーも確実に存在するため、キャンペーンの過小評価にもつながりかねません。
また、インプレッションベースのCPAの場合は広告を見ておらず、たまたま購入しただけのユーザー(広告配信とは無関係)も含まれてしまいます。見られている広告のコンバージョンや認知度に及ぼす効果はデータからも見えており、そのためビューアブルを増やすvCPMをKPIにするケースも増えています。

上記のように、同じ予算、同じCPMでの配信で後者にPre-bidコストとして10円上乗せされても、ビューアビリティ率の上昇により実際に見られていたインプレッション数とViewable CPM(見られていたインプレッションにかかったCPM)が劇的に改善される結果になります。
vCPMだけではブランド毀損の問題が改善されない、もしくは悪化してしまうケースもあるため、さらに高い品質とパフォーマンスを求められます。
Brand Safe vCPM(ブランド毀損の問題がなく、見られていたインプレッションにかかったコスト)をKPIとする広告主や、ビューアブルオンターゲットリーチといった、ビューアビリティとオンターゲットリーチ数を掛け合わせたKPIに主軸をおき、さらに高い広告のROIを求める広告主の方々も存在します。
CPCやCPAなどのボットなどに左右されやすいKPIでは本当の意味での広告効果につながらないため、本当に効果につながるKPIにシフトすることが重要になります。
また、実際に料金の発生するコンバージョンや認知度の上昇は、ボットや不正では偽装することができないため、それらに注目することにより自然に上記のような落とし穴を防ぐことができます。
以上、全5回にわたり広告配信においての計測指標の重要性や活用法などについて述べました。次回は視点を変え、広告枠を提供するサプライサイド側であるメディアが、どのようにこれらの計測データと向き合っているのか、紹介します。