「コンタクト起点」ではなく「コンテンツ起点」のプランニングを
押久保:企業のブランディングがイコールでエンゲージメントとなるのかは別途検討が必要にしても、もっと潜在層へのアプローチに企業が予算を投じると、デジタルを巡る様相が一気に変わりそうです。
長崎:この文脈で期待したいことは、様々な広告主によって多種多様なコンテンツが生まれることです。まだまだ動画広告市場のメインは、6秒、15秒、30秒のように決まった短い尺による、リーチ獲得型のコンテンツです。いわゆるコンタクト起点。
そうではなくて、もっとコンテンツ起点の動画がどんどん出てきてほしいと思っています。CAMPANELLAがC CHANNELさんと組んで作った動画がまさにそうです。あれ、私も好きなんです(笑)。
馬場:嬉しいです(笑)。CAMPANELLAは中年層に強いメディアだったので、もっと女性にも気軽に見てもらえるコンテンツを作りたくて、女性受けしそうな、シズル感が伝わるようなハウツー動画に挑戦しました。
「ウイスキーをアイスコーヒーで割って、最後にアイスクリームを加えるカクテル」を、C CHANNELの人気公式クリッパーのひよんさんが紹介するという動画です。7月公開にあわせて、夏にぴったりのレシピを提案したところ、狙い通り、女性から多くの反響をいただきました。
長崎:従来のメディアプランニングは「YouTubeで流すには何がよいか?」といった、コンタクトポイントにおけるコンテンツ最適化です。その一方で、コンテンツ起点のプランニングが進めば、配信方法についての多様なチャレンジが可能になります。
理想はそれらを併走させ、それぞれを最適化すること。個人的にはコンテンツファーストで制作し、マッチするコンタクト手段を見つけていくケースを増やしたいです。あの映像、最後にアイスが溶け出してきて…、伝わってきますよね(笑)。
押久保:まさにシズル感が視聴者を惹きつけているわけですね(笑)。
もっと「編集部」を名乗る事業会社が増えてほしい!
押久保:これからの動画広告市場や、企業が発信するコンテンツについて、最後にお二方から話をうかがいたいです。

長崎:二つお伝えしたいことがあります。一つは、「リーチの概念だと損に思えても、エンゲージメントの概念では得をする」といったことが証明されてほしいですね。
業界共通のエンゲージメントの指標として、現状よりもさらに踏み込んだ指標の登場が望まれています。よく使われる視聴態度以外に、意識変容について科学的なアプローチをする調査会社も現れました。エンゲージメントの共通指標化が実現すれば、社内折衝に使えたり、ステークホルダーへの説得がしやすくなります。
押久保:テレビのGRP(延べ視聴率)のような、共通のモノサシとなる指標ができると、出稿しやすくなりますからね。
長崎:もう一つは、今やどの事業会社さんもメディア化している、ということです。コンテンツになりうるアセットがある。その企業の商品はもちろん、社員、社屋や工場、地域に根ざした活動など、どれもがストーリーをもっています。それらをコンテンツとして展開するならば、ぜひどの企業も「編集機能」をもってほしいと思います。これまでは宣伝部に「制作機能」を置く例が見られましたが、これからは発想の転換が必要。
サイボウズさんがオウンドメディア『サイボウズ式』で既に実践していますが、「編集部が作ったコンテンツ」となると、送り手も受け手もマインドセットが変わると思うし、「編集部とならば」と他の企業がコラボしたくなる。様々な企業で内製の動きはありますが、もっと自ら名乗っていいと思います。CAMPANELLAは編集部であり、馬場さんが編集長なんです(笑)。

馬場:恐縮です(笑)。私たちのやりたいことは、コンテンツに接触したユーザーに「お酒にポジティブなマインドを持ってもらう」ことです。今後も、ユーザーごとに態度変容できるコンテンツを見つけていきたいですね。
コンテンツ制作で気をつけていることは、まず企業色を出さない、というのが大前提としてあります。CAMPANELLAでは、賛否両論のあるコンテンツが特に反響が高い傾向にありますが、企業色を出さないCAMPANELLAという座組みだからこそ、このようなコンテンツを積極的に発信できます。
このような視点で動画や記事というコンテンツを配信しながら、それを見たユーザーのアクションをヒントとして、デバイスの先にいるユーザー動向の可視化につなげたいですね。
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遠藤 義浩(エンドウ ヨシヒロ)
フリーランスの編集者/ライター。奈良県生まれ、東京都在住。雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)の常駐編集者などを経てフリーに。Web、デジタルマーケティング分野の媒体での編集/執筆、オウンドメディアのコンテンツ制作などに携わる。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
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