イマドキ若者たちの旅先の探し方
さて、ここまでInstagramを活用することで若者と訪日観光客を取り込むチャンスがあるというお話をしてきましたが、訪日観光客の集客については外国語対応など受け入れ側の体制作りから準備する必要があり、「まだまだうちは……」という自治体や観光協会様も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は取り組みやすい国内集客の強化から考えていきたいと思います。まず、日本の若者たちがどのように旅先を選定しているのかという点について、深掘りしていきましょう。先日、とあるプロモーションの企画で今時の学生旅行の理解を深めるべく大学生の座談会に参加してきました。旅行のプランを4チームに分かれて企画しプランニングするという会だったのですが、様々なヒントが得られたのでご紹介します。
まず、旅先選定の方法について、参加した多くの学生がSNSを眺めている中で誰かが投稿した旅の思い出などにインスピレーションを受けて動き出します。また、利用するSNSは日本の友達はInstagram、海外にいる友人からの情報発信はFacebookからというものでした。
SNSで断片的に情報を拾ったあとに、より詳しい情報を本やWebで探し、交通手段や宿泊先など詳細なプランを固めていくプロセスで計画を立てるといいます。また、最終的にグループワークで練った自分たちが行きたい旅行プランについて発表してもらったところ、4チーム中3チームがフォトジェニックというキーワードをプランに盛り込んでおり、旅に行く目的の大部分が写真を撮ることが目的になっていました。
この流れを踏まえ、遊びに来た旅行者がInstagramで情報発信をしてくれるような仕掛けを行うことができれば、旅行者の思い出を通して新たな旅行者が獲得できるという好循環を生むことができるのではないでしょうか。
Instagramで話題のスポットをご紹介
それでは、ここでいくつかInstagramで話題の観光スポットをご紹介します。まずは、都心からも気軽に行ける秘境として話題となった神奈川県足柄上郡にあるユーシン渓谷(#ユーシン渓谷 5,490件)と、ジブリに出てきそうな幻想的な風景で話題になった千葉県君津市の濃溝の滝(#濃溝の滝 20,220件)です。
この2つのスポットは、訪れた観光客の方々がInstagramにステキな写真を投稿したことで口コミ的に話題になったスポットです。ユーシン渓谷は都心から電車で1時間半、更にバスで40分、最寄りのバス停から徒歩で1時間以上山道を進みやっとたどり着けるという秘境ですが多くの方が絶景をひと目見て写真に収めたいと足を運んでいます。

次に、京都にある八坂庚申堂(#八坂庚申堂 47,614件)をご紹介します。こちらはくくり猿というカラフルなお手玉のような布地に願いを書いて吊すとその願い事が叶うという願掛けが人気なスポットで、多くの女の子たちが訪れているスポットです。
また、このスポットでは一度スマホで写真を撮り、その写真をスマホの画面に映して再度撮影する「フォトインフォト」という手法も人気で、第2回でもお伝えした、ただ撮影するだけではなく、特定の構図で撮るという「コト」化も人気のポイントになっているようです。
最後に、2017年4月に神戸のメリケンパークに設置されたBE KOBE(#bekobe 12,535件)のモニュメントをご紹介します。BE KOBEとは、阪神・淡路大震災から20年を機に生まれたロゴマークです。
このモニュメントが神戸に来た証しを残す新たなフォトスポットとして話題になっており、Instagramにも多くの写真が投稿されています。ここまでご紹介した事例は自然や歴史的建造物という資産がある場所での事例でしたが、このように新たに設置された場所でもInstagramの世界観とマッチしたスポットは多くの投稿を集めているのです。
※ハッシュタグ投稿数は、2017年7月17日現在
