車購入の決定権は「奥様」にある? ターゲットを見定めたPR事例
まず考えるべきは、ターゲット。山下氏は、コンテンツマーケティングが普及してきた理由のひとつとして「パーソナルな端末であるスマホやタブレットが浸透した」ことを指摘する。
スマホは個人が自由に好きなものを集め、好きな情報を取得できるデバイスだ。「そうした場で、企業が一方的にメッセージを発信しているような広告だと、接しても要らないものと受け止められてしまいます。特にスマホがパーソナルな端末であることを踏まえると、接触したいターゲットが何を知りたいのかを見極めて、それを届けるという発想へ考え方を変える必要があります」(山下氏)。
コンテンツマーケティングと一口にいっても、企業の課題や目的によって、どういう段階の人たちに向けて展開するのかが大きく異なる。パーチェスファネルを大まかにブランド認知、理解促進、購買、そして購買後のロイヤルティ醸成の4段階に分けると、特にantenna*が得意とするのは理解促進とロイヤルティ醸成の2フェーズだという。
たとえば、既婚男性が自動車を購入する場合、妻の意見も大きく影響することから、とある車ブランドはantenna*で、車種のプロモーション動画を若い女性向けに配信。人気のインフルエンサーを起用し、そのライフスタイルの中で該当車種を情緒的に描き出すことで、ブランドへの共感を呼んだ。企業から見てどのような段階のターゲットにアプローチしたいのか、そのターゲットはどういう情報や表現を欲しているのかを見定めて展開した好例だ。
曜日や時間帯でユーザーのモチベーションはまったく異なる
次のポイントは、モーメント。グライダーアソシエイツの中野拳太氏は、「24時間接触しているスマホだけに、たとえ同じようにantenna*を閲覧していても、時間帯が朝なのか夜なのか、また平日なのか週末なのかよって、ユーザーのモチベーションは大きく異なります」と解説する。
曜日別・時間帯別にスポンサードする前述のタイム広告は、これを活かした仕組みだ。たとえば某時計ブランドの訴求にあたっては、ある平日夜の時間帯をスポンサードし、antenna*内の男性向けチャンネルにて「男の欲求をかき立てるアイテム」というテーマで特集を展開している。
この曜日・時間帯を選定したことには意図がある。カジュアルなデザインから週末用のアイテムというイメージが強い同ブランドだが、ビジネスユースにも十分対応できることを訴求するために、週の半ばを選び、かつビジネスマンに読まれやすい夜の時間帯としたのだ。ちなみにこの企画は訴求する時計を選ぶところから、タイアップするメディアの選定、制作のディレクションまでをantenna*で手がけている。
3つ目のポイントはプレイスだ。まず、言わずもがな、コンテンツの配信先を見極めることは、今やブランドセーフティーの点から欠かせない要素だろう。popIn、antenna*ともに、提携メディアを厳選しているため、ブランドに好ましくない出面に広告やコンテンツが配信されることはなく、それが多くのブランド企業から選ばれている要因にもなっている。