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コンテンツマーケティングの新常識

「チャンネルが人に合わせる時代へ」コンテンツマーケティングの未来の話をしよう


コンテンツの深さとユーザー数の相関

 なぜ深いコンテンツはウケるのでしょうか? 浅いコンテンツ、よく言えば視聴者へのリーチが広いコンテンツはマスメディアで散々流されているので、深くないと目新しくないからだと思います。好みが細分化した現在では、テーマが広すぎると自分ごとに感じないのかもしれません。しかしリーチとコンテンツの深さはトレードオフの関係があります。

リーチとコンテンツの深さのトレードオフ
リーチとコンテンツの深さのトレードオフ

 コンテンツが深くなるにつれてウケはするものの、分母となる視聴者は減ります。テレビはよく知られた偉人や学校や家族の話を扱いますが、配信する規模が大きいだけに、ある程度の対象者がないと成立しないからです。

 一方のWebメディアも、マニアックな話をしていてニッチな人ばかり集めても商売になりません。図でいう右上の、いかに深くてリーチも広いコンテンツを成立させるか? というエリアを目指すこととなります。

 キーワードは「尺と枠の自由」で、電波が割り当てられる放送と違い、ネット上ではいくらでも番組表を拡張できる可能性があります。

人にチャンネルを合わせる

 たとえばAbemaTVは約30のチャンネルがあります(※2018年2月時点)。チャンネル数の多さによって、深掘りされた番組をトータルで多くの対象者へ届けることができます。

 AbemaTVには、ブスだけが登場する「ブステレビ」や、童貞がテーマの「DTテレビ」など、地上波テレビではやらないしやれない少し深いテーマの番組もあります。

 実際にAbemaTVにハマっている友人に、「なぜ(地上波)テレビではなくAbemaTVを見るのか?」と聞いたところ、「仕事から帰ってきて見るんですが、その時の自分の気分にぴったり合った番組があるんですよ」と語っていました。

 そんなものCS放送からあったではないか、と思う人もいると思いますが、スマホで簡単に見られるという簡易さが大きく異なります。

 単にチャンネル数を増やせば良いのか? と思うかもしれませんが、AbemaTVは一つの例であり、視聴者の好みを把握しやすいWebメディアでは他に様々な打ち手があると思います。

 Webメディアの特徴は文字でもマンガでも映像でもなんでもありなミックスなことです。たとえばフジテレビのネット放送サービスであるFODは映像以外にマンガも配信しています。AbemaTVのような映像限定ではない見せ方も色々考えられます。

 チャンネルが人に合わせる時代、深い番組が求められる今後、一社提供番組を作りやすいコンテンツマーケティングはようやく収穫期に入っていくことでしょう。

コンテンツマーケティングのこれから

 今後しばらくは動画がコンテンツマーケティングの話題の中心になるでしょう。ですが、さらにその先はVR/AR/MRやドローンも関係してきます。冒頭で取り上げた次のポイントは、そのまま新しいデバイスに適応できるからです。

・コンテンツは現実の疑似体験である
・コンテンツマーケティングは、コンテンツを通じたブランドの疑似体験
・疑似体験のリアリティは、コンテンツの情報量に比例する

 これまでの連載で語ってきたように、黎明期のテレビ時代からコンテンツマーケティングは存在していました。単に呼び方や表現が変わっているだけで、コンテンツやアートをスポンサードすることは以前から行われています。

 コンテンツマーケティングが今後さらに盛り上がるか? という問いはナンセンスであり、新しいデバイスやメディア環境でどうコンテンツを作っていくか? という事しかないと思います。その探求が終わることはないでしょう。これまで読んで頂きありがとうございました。

【参考文献】
『コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと 』川上量生 著、NHK出版、2015年4月

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この記事の著者

谷口 マサト(タニグチ マサト)

滋賀出身。マンガ原作者、LINE社コンテンツマーケティングチーム、チーフプロデューサー。ネットでオリジナルコンテンツを作ることをテーマに、LINE社で企業とコラボしたコンテンツを日々制作している。個人でもコンテンツ制作を行っており、月間300万PVの個人サイト「chakuwiki/借力」はベストブログ・オブ・イヤー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/02/20 14:19 https://markezine.jp/article/detail/27133

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