ホテル・レストラン・婚礼事業を展開するPlan・Do・See
――ブライダル業界にも、デジタルマーケティングの波が拡がっています。前回ウエディングパークさんに取材した際(前回記事)、デジタル活用において前衛的な取り組みをされている企業として、Plan・Do・Seeさんをご紹介いただきました。今回は、情報システムや店舗開発に携わりながらデジタルマーケティングを進めておられる石川さんに、組織体制や現場の課題、デジタル活用を展開するコツなどを聞いていきたいと思います。まずは、Plan・Do・Seeの事業概要から教えてください。
石川:Plan・Do・Seeは、結婚式のプロデュース業からスタートした会社です。現在はホテル事業を核に事業を展開しています。主な事業は、ホテル宿泊・宴会・婚礼・レストランの運営ですね。
事業規模で言いますと、国内で11拠点、海外でも4拠点の施設を運営しています(2017年10月現在)。宿泊事業を行っているのは、国内3つのホテルです。
――その中で石川さんは、どのような業務を担当されているのですか?
石川:情報システムのマネージャーという役職で仕事をしています。名前からわかる通り、大きな仕事は社内の情報システムに関するものです。
PCやネット環境の整備はもちろんですが、必要な業務アプリケーションの開発や支援も行っています。デジタルマーケティングの施策では、Webサイトの制作・運用管理をはじめ、Webからの集客や広告の管理も担当しています。
――必要な業務アプリケーションの開発とは?
石川:婚礼案件をクラウド上で管理できるアプリケーションです。元々は弊社のブライダル事業で使用するために開発したものでしたが、弊社の子会社である株式会社アナリシスの事業として、今は弊社以外の婚礼事業会社やホテルへも提供しています。
あえて企業ブランドでは勝負しない!根底にあるコンセプトとは?
――ホテルや結婚式場は、どのようなコンセプトで展開されていますか?
石川:コンセプトは、ホテルも結婚式場もレストランも、全部バラバラですね。ホテルは神戸で1つ、福岡で2つ展開していますが、それぞれ客室の数も価格も雰囲気も異なります。結婚式場やレストランも同じく、ブランドで統一して勝負しようとはしていません。
――業界的には、ブランドで勝負する企業が多いイメージなのですが……。一貫したコンセプトなどはないのですか?
石川:確かに、一般的なホテルチェーンではブランドのイメージに合わせて各地で展開している企業が多いので、弊社のブランドの打ち出し方は少し珍しいかもしれません。名前に関しても、同じホテルや式場はひとつもありません。
ただ全社的な理念として「街に貢献する」ことを掲げています。根底にこの考え方があるからこそ、地域ごとに違うスタイルになっているのかもしれません。その地域や街に合った建物や雰囲気、価格帯で展開することで、観光客が増加する、地域の方々に日常使いの店として愛されるなど街自体の価値を高めることにフォーカスしています。
――となると、マーケティング施策もそれぞれのホテル、結婚式場で考える必要が出てくると思うのですが……。
石川:そうですね。ですがまず前提として、弊社で広告を行うのはブライダル事業のみです。ホテルやレストランの事業ではほとんど行っていません。理由は、ブライダル業界にはリピーターがいないから。ブライダル業界にはリピーターが存在しないので、広告で集客をかけなければ、いくらクオリティの高いサービスを提供してもお客様が我々の店へ訪れることはありません。
店舗ごとにコンセプトが違うため、アプローチしたい層も異なります。そのため、基本的に店舗ごとで施策の打ち出し方を考えています。企画だけでなく予算も店舗の中で捻出してもらっていますよ。
――予算の捻出まで、店舗の独立採算で行っているのですか?!
石川:はい(笑)。これも一般的なホテル・ブライダル企業と比較すると特徴的かもしれません。
組織構造を説明するとわかりやすいと思うのですが、弊社では各店舗に店長に相当するジェネラルマネージャーという役職を置いています。その下にホテル事業・ブライダル事業・レストラン事業・宴会事業を各々統括するマネージャーがいます。本社組織も一応あって経理や人事などを担当しているのですが、どこにもマーケティング専属の組織はありません。
本社で一括して予算を配分した方が効率的かもしれませんが、店舗のマネージャーを筆頭にお店ごとにカラーがあります。その土地にあった集客の方法を考えることができるのは、実際にその土地で暮らして働いている人だと思うので、お店ごとに独立させています。