人基点に求められるプランニング、技術は?
鈴木氏は、現在のマーケティングでできることを踏まえ、電通、そして電通グループが行うプランニングを7つのプロセスに分けて語った。
1つ目は「Objective」。事業やマーケティングにおける課題を「人が主語」の課題に転換し、誰に対し何をすべきかを策定する。このフェーズに対し鈴木氏は俯瞰する「鳥の眼」が求められると語った。

企業が持つ課題を俯瞰した後、今度は「虫の眼」で狙うべき人を行動データなどによって分析するという。この「鳥の眼」と「虫の眼」を交互に使い分け、セグメント設定やジャーニーの展開、メディアとプロモーションのプランニング、クリエイティブ作成、その後の目標設定までトータルサポートする。
さらに鈴木氏は、その実現に先ほど出てきたPeople DMPはもちろん、様々なツールベンダーのマーケティングツールやプライベートDMPとのデータ連携、プロセス統合がとても重要になると語る。

PDMの全体像を語り終えた鈴木氏は最後に「人基点でマーケティングを支援できるお手伝いは普遍的なものになると思います。これをグループ一丸となって作り上げていきます」と抱負を語り講演を締めくくった。
DMPにもスマホ対応が必要?
PDMの全体像はわかった。しかしながら、それを支えるPeople DMPとはどういった特徴を持ち、人基点のマーケティングを支えてくれるのだろうか。そこについて、鈴木氏の講演の次に行われたセッションで、開発推進者の1人である電通の村山氏が解説した。同氏は最初にPeople DMPの概要の説明から始めた。

「People DMPのコンセプトはPDMを実現するために、日本の生活者の行動や意識、感情をすべてデータで説明できるようになることです」(村山氏)
このコンセプトを実現すべく、電通と電通デジタルは1年強かけて開発を進めてきた。そして、今回のリニューアルにあたり行ったのは、「スマートフォンシフトへの対応」「CookieからIDベースへのシフト」「フルファネル統合マーケティングを可能にするプラットフォームの構築」だった。

「これらを行うため、パートナーシップを各社と推進してきた」と村山氏。これまでも、電通ではパブリックDMPを持ち、4億程度のCookieデータを保有していた。しかしながら、このデータはPCがメインとなっていたことから1つ目の「スマートフォンシフトへの対応」が求められた。
そこで電通は、Supershipやインティメート・マージャーなどのデータホルダーや媒体社各社とデータパートナーシップを推進した。これにより同社は、スマートフォンのCookieデータは3.2億、さらにスマートフォンアプリのIDも8,400万取得。膨大なデータ量によって、これまで見えていなかったユーザーのトラッキングやリーチが可能になる上に、スマートフォンシフトにも対応できる。
