Z世代マーケティングの3つのカギ
Z世代の性格や消費行動を分析した上で、EYはZ世代向けのマーケティング戦略として、以下の3つを挙げている。
1.進化するニーズに直感的に対応
2.問題解決に彼らを巻き込む
3.彼らにロイヤルティ(忠誠)を求める前に、自らがロイヤルティを示す
それでは、この戦略によって実際に成功した事例を見てみよう。2015年、あるファーストフードチェーンはZ世代をメインターゲットと想定したアプリを開発した。これはドライブイン、イートインともにアプリでオーダーと会計を済ませられるもので、従来のメニューセットにはない独自のメニュー組み合わせを可能にするのが魅力的。自らイニシアティブを取り、問題解決を図りたがるZ世代の心をがっちり摑んだ。
彼らは無限に広がるメニューの組み合わせを楽しみ、自分で作りだしたコンビ・メニューを「HacktheMenu.com」などのサイトでシェアするという行動に出た。これにより、同チェーンのオンラインオーダーは、従来のカウンターでのオーダーを20%上回り、同チェーンは「Z世代のお気に入り」としての地位を確立した。

ファーストフードチェーンのアプリで作ったメニューもシェアできる
一方、Z世代に当たる17歳の女子が立ち上げたあるランジェリーブランドは、13歳の妹の悩みを解決するところから始まった。ティーンエイジャー用のブラジャーはセクシー過ぎて、妹はゴージャスなモデルが身に着けたのと比べて劣等感を抱いてしまいがち。彼女は「妹は何を着ても自信を持つべきだ」との考えから、年齢相応のラインを立ち上げたのだ。Z世代の真のニーズを汲み取って生まれたこのブランドは、2万5,000ドルのクラウドファンディングを実施したが、集まった資金は目標を上回る4万1,000ドルに到達。多くの人々の共感を得た。
また、あるフードデリバリー・チェーンは、顧客がオーダーしてからスナックを受け取るまでのプロセスを透明化することで、待ち時間のイライラを解消するのに成功した。同チェーンはまずオンラインオーダーのプロセスを5回のクリックでできるように簡略化。オーダー完了後は、スナックを追跡できるシステムを追加した。これにより顧客の不安は減少し、待ち時間さえ楽しめる要素に変化。Z世代との信頼関係を築くことができたのだ。
これまでのどの世代にも見られなかった特徴を持つZ世代。野心的で努力家でイノベーティブな彼らの台頭は、これまでにないスピードで新しいモノやサービスを生み出す可能性を秘めている。Z世代が他の世代との関係の中で何を生み出していくのかが注目される。