SATORIが実践するコンテンツによる啓蒙活動3ステップ
ではSATORIはどのような施策を展開しているのか。SATORIは次の3ステップに分けて、潜在顧客をデジタル上で捉えて育成、獲得している。
(1)ファーストタッチにはメディアを活用
最初のステップは、潜在顧客が「MAツールで解決しうる課題感」を持った瞬間に接触することを考えることだ。「これには自社でコンテンツマーケティングを行うか、もしくはメディアからセカンドパーティーのオーディエンスデータを提供してもらうか、この2つの方法しかない」と植山氏。
実際にSATORIでは、コンテンツマーケティングとして、MAやメール開封率といったテーマで自社サイトに現在100記事ほどを掲載し、SEOで流入を図っている。もうひとつはメディアによって組み方は異なるが、タイアップ記事出稿時に閲覧した読者データを提供してもらうなどして、彼らにアプローチするもの。ここで特に重要なのはデータの濃度とコンテキストで、「現状では経営者対象のメディアと、MAの検討段階という文脈にいる顧客が読むメディアの効果が高い」という。
(2)啓蒙コンテンツで顧客を誘導
次のステップは、(1)で捉えた潜在顧客に適切なコンテンツを提示し、自社との距離を縮めてもらう。SATORIではこの方法で、これまでに約60万ユーザーを匿名客として獲得しており、彼らを順を追って啓蒙している。「考え方は簡単で、優秀な営業マンのセールストークをイメージしています。MAを知らない人にはまずMAの解説、次に事例、そして『SATORI』の紹介といった流れで、顧客のカスタマージャーニーに沿って記事を提示していきます」(植山氏)。
なお、その方法としてはオウンドメディア内ならレコメンド記事欄、外部サイトならリターゲティング広告を活用している。
(3)コンバージョン
(2)で行ったのは、まさしくデジタル上での顧客育成だ。最後の段階は、最終的に自社サイトで「SATORI」の機能紹介や他社との比較ページを閲覧した顧客にポップアップを出し、資料請求やセミナー参加へ誘導する。
デジタルのみで顧客育成すると、逆に会える顧客が増える
一連の流れを振り返ると、まず自社サイトもしくはセカンドパーティーデータを活用して大量に潜在顧客に接触する。次に、個々の関心に合わせた啓蒙コンテンツを提示し、興味を深めて、最後にコンバージョンにつながる一押しを提示する。
「この流れのすべてがデジタルで完結できることが、デジタルファーストの時代には重要です。そのほうが多くの顧客を潜在顧客として捉えることができます」と植山氏は強調する。
ちなみに啓蒙コンテンツのリターゲティング広告と、最後のコンバージョンにつながるリターゲティング広告だと、SATORIでの広告費投下の割合は8:2。リターンを考えると、単純にこれだけの比率の差があるという。MAを知らない層にMAを提案するという、リードジェネレーションの最も上流の段階ともいえる部分を含めて、いかに潜在顧客の発掘と育成が重要かがわかる数字だろう。
最後に植山氏は、「デジタルだけで顧客を育成する視点を持つことで、最終的な商談の段階で対面できる顧客数も大幅に広がります」と語る。「SATORI」は匿名状態の顧客の動向やホットリード化なども把握できるため、コンテンツマーケティングなどとの併用でも大きく効果を発揮しそうだ。「デジタルマーケティングを成功させるために、ぜひファーストタッチからデジタル上で顧客育成できる仕組みを構築していただけたらと思います」(植山氏)