Microsoftの野望
Microsoftは、GoogleとかYahoo!とか、あるいはインターネットさえも、ビッグビジネスになるとは思いもよらなかったのだろう。まして帝国の驚異になろうとは…。Microsoftがインターネットと関わっていく歴史は非常に明快である。常に後手後手に回っている。まずは、ユーザーサポートのようなMSN。次にYahoo!を模倣したポータルMSN。検索エンジン(Inktomi)を外注し、検索連動広告(Overture)を外注しと。
ところが、InktomiとOvertureがともにYahoo!に買収され、煮え湯を飲まされる結果に。そして帝国の威信をかけてあえて買収に頼らず自前の検索と広告のシステム開発を決断する。
方向転換しインターネットビジネスに参入を決定した後のMicrosoftも見事である。売上と利益をオンライン広告に定め、検索と、検索連動広告と、コンテンツマッチ広告など3つの自社開発にリソースを徹底して注ぎ込んでいる。つまり、Googleの独走阻止こそが戦争目的なのであるが、敵のもっとも得意とする武器を選び、真っ正面からの一騎打ちに臨んでいるのである。
Microsoftは、MacのiPodがWindowsに殴り込みをかけてきた時、すぐに追い越す、あっという間に潰せると思っていただろう。それまでせいぜい新市場の開拓をやらせて、Microsoftがごっそり刈り取る算段だったに違いない。だが現実は違っていた。それでも音楽配信やポータブルプレーヤーごときで勝てなくても、我慢できるだろう。しかし対Googleにおいても、成果を上げるどころかジリ貧でしかない。こちらは放置できない問題だ。
検索と広告においては、Microsoftは技術力・開発力・営業力は十分自社に備わっていると判断しているだろう。喉から手が出るほど欲しいのは、シェアだけである。