Yahoo!の運命 ~ 買収不可避なこれだけの根拠
【株式会社】
日本と違ってアメリカでは、株式会社は従業員のものでも経営者のものでも創業者のものでもなく、株主のものである。株主に不利益を与えると、経営者は訴訟も起こされる。
【Yahoo!の株価】
株価の元である企業の収益性という点では、Yahoo!は連続して減益傾向にあり、株主や市場を納得させることのできる方針を示すことができないまま、2008年1月末には20ドル割れに落ち込んでいる。なるほど、2007年には30ドル以上の時もあったし2005年末から2006年初めでは40ドルを超えたこともある。
しかし、リストラ程度では構造的な減益体質を改善できるはずもなく、Microsoftの買収提案を境に、提示された31ドルの下あたりで安定していることこそ、市場の買収待望論の証左でもある。
【Yahoo!の利益】
無料コンテンツの閲覧では世界一でも、ビジネスモデルは広告頼みである。新聞やテレビなどと同じ。ところが、Overtureを買収して検索連動広告を自社製(YSM)にしたものの、Google外注よりも25%ほど利益率が低いという悲惨な状況にあり、競合と同じシステム開発力ならばさらに大きな利益を生むはずと市場の落胆は大きい。
さらに、利益率が低いYSMでは、他の有力サイトへの営業もおぼつかず、このように手枷足枷を付けられてはシェア拡大も夢のまた夢である。
【Googleの無視】
合併や買収ではないものの、Yahoo!への援軍は規制対象となりかねず、アメリカで許可が下りヨーロッパで審議中のDoubleClickの買収の件でやぶ蛇になりかねないので、Yahoo!を見殺しにするだろう。
【Yahoo!創業者の孤立】
経営陣でも内紛が起こり、Microsoft嫌いの創業者であるCEOのJerry Yangが追放される可能性さえある。
【Yahoo!の株主】
実はYahoo!の株主の多くは、Microsoftの株主でもあり、さらにMicrosoftの株の方をより多く持っているということである(主に機関投資家)。ということは、Yahoo!の株主の大勢は買収に賛成し、かつ一株31ドル以上の値付けでMicrosoftの財務状況を危うくされては困るということにもなる。
Yahoo!株主の大半の願いは、Microsoftの提示条件でYahoo!が買収に応じること、つまり無血開城である。Yahoo! Inc.経営陣の、のらりくらりとした対応も長引くと危険だし、Microsoftの買収を完全に拒否した挙げ句に、選んだ方策が失望を招くと株価は暴落しかねない。あとは株主訴訟の嵐である。