シニア層の使いやすさを重視したサイト作り
――シニア市場のマーケティングサービスとしてビジネスを展開していくことを考えると、サービスの使い勝手や、『シュミカツ!』自体の認知度向上に向けて、やはりシニア世代に合わせて開発していく必要がありますよね。まずサービスの使い勝手についてですが、具体的にどのような工夫をされているのでしょうか。
倉辻:サイト全体の使い勝手でいえば、色調も暖色の柔らかな色でまとめていますし、細かいところでいえば、新規タブやウインドウを立ち上げることが少なく、見ている画面上から次の画面に遷移する作りにしています。シニア層の場合、「戻る」ボタンを使って元のページに戻る割合が多いからです。また、役に立つ記事やログイン方法の説明などは印刷して手元に置く人も多いので、多くのページに印刷機能を設けました。
植中:シュミロクについてですが、本当に簡単な「今日歩いた歩数」だけを記録してもOKですし、食べ歩きのお店について画像入りで詳細に書いても構いません。記録の仕方は自由で、しかも昨今のSNSとは逆に、「自分の記録を他人と共有・公開しない」というコンセプトで設計されています。
というのは、最初にアンケートをとったとき、SNSに対する抵抗感を持つ意見が多かったのです。SNSだと自分が撮ったお孫さんの写真が、ネットの中で知らないうちに拡散するというリスクもあります。こうしたことを踏まえ、サービス開始時は、シュミロクは人と共有しないという方向で開発しました。
その代わり、サマリーデータとして、他の会員がどういう活動をしているのか、人気の場所や観光地はどこかといった、会員全体の動向を視覚で見られる機能を提供しています。季節で人気のアクティビティや、人気スポットがデータでわかるので、これをもとにユーザーさんが思い思いに次の行動を企画してくれればいいな、と思っています。
――アンバサダープログラムの中で会員が付けたモニター活動の記録などは、拡散できないのでしょうか?
倉辻:シュミロクを他人と共有することはできませんが、Facebookへの公開機能ボタンを持っているので、「この記録をFacebookにも投稿したい」という場合、そのボタンを押せばFacebookに投稿することができます。

協力企業と組み、リアルな場を活用して集客
――『シュミカツ!』の認知度向上に向けては、どのように取り組んでいるのでしょうか。デジタルだけを入り口とすると、なかなか拡散しにくいと思いますが。
植中:我々もそう考え、提携企業・協力企業にご協力いただき、集客・告知を展開しています。たとえばスポーツクラブ大手のセントラルスポーツさんは、多くの会員を持っていらっしゃるので、まずはその会員の方にアプローチしようと、クラブ館内にポスターを設置していただきました。先ほど申し上げたサカタのタネさんにも、園芸イベントで『シュミカツ!』を案内していただいています。まずはこうした施策で集客しています。
――集客後の会員化に向けての施策はいかがでしょう。
倉辻:アンバサダープログラムや、会員募集キャンペーンを展開し、登録を促す仕組み作りを考えています。
植中:簡単なところでは、毎日のログインポイントやシュミロクの記録ポイントなど、ちょっとした行動でポイントを蓄積するゲーミフィケーション的な要素を取り入れています。ポイントが貯まると商品券などと交換できるので、それを楽しみに継続している方もいると思います。
――今後の構想をお聞かせください。
倉辻:一口にシニア層といってもいろいろな方がいらっしゃるので、年齢や性別だけではなく、ライフステージに合わせて、ステージごとにどういうニーズがあるかを考え、サービスの提供を考え、発展させたいと考えています。
植中:このサービス自体、Webだけで完結させるつもりではありません。趣味という切り口でWebとリアルを回しながら、異なる趣味同士を掛け合わせ、新しいサービスが生まれる可能性があります。そうしたことを見据え、『シュミカツ!』を進めながら、さらに活用していただけるように取り組んでいきたいと思っています。
