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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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成功事例から学ぶ!コミュニティマーケティングの秘訣

継続は力なりを体現!六本木ヒルズが早朝8時からのオフラインイベントを7年間実施した結果

お金もコネもないけど、東北に桜を届けたい~参加者自ら企画を遂行

松澤:イベントの運営では、どこまで森ビルが関わりどこからボランティアの方へ任せていますか?

佐藤:前日までの登壇者選びやイベントの告知、イベント後の動画のアップなどは弊社で行いますが、当日の運営はボランティアの方と一緒に行っています。ただイベントに参加して学びを得たいというだけでなく、参加者や登壇者とつながりたい、応援したいと思ってくださるオフィスワーカーの方々が、椅子の用意から司会進行まで手伝ってくれます

 たとえば、イベントのスピンアウト企画として3周年イベントを開催した時は、「Hills Breakfast」のオーディエンスが40人くらい集まって実行委員会を組成し、4ヵ月くらいの準備期間をかけて、イベントを実現させました。皆さんお仕事の合間で手伝ってくださいましたので、この期間はきっと多忙を極めたと思います。

松澤:六本木ヒルズを飛び出したプロジェクトはありますか?

佐藤:東日本大震災の後、あるお花屋さんが登壇され「私にはお金もコネも力もないけど、被災地に桜を届けたい」と自分の想いを発信されました。その想いに会場の参加者が感銘を受けて、実際にプロジェクトを遂行したことがありました。

 具体的には、「Hills Breakfast」運営のボランティアをしてくださっているオフィスワーカーが事務局長となり、募金の手配などをしてくださったようです。このようなプロジェクトは、この事例だけに限りません。

 「Hills Breakfast」は思いが伝わりやすいという特徴があって、これには参加者の積極的な姿勢がとても関係していると思います。イベントで登壇者や参加者を支援したいという仲間が現れ、実行に発展するパターンが多いんです。

松澤:私も一度、「Hills Breakfast」に登壇させていただいたことがあるのですが、参加者が積極的であることは非常に感じました! イベントで出会った人たちの熱量がすごかったですね。

「Hills Breakfast」から派生した「ヒルズブ!」

松澤:「Hills Breakfast」から派生して、他にもいろいろなコミュニティがありますよね?

佐藤:はい。参加者の中でも特に熱度の高いオフィスワーカーが「ずっと欲しかった大人の遊び仲間、遊び場を作ろう」と言って盛り上がり、「ヒルズブ!」を結成しました。それぞれ違う企業に勤めていた六本木ヒルズのワーカーたちが中心になり、自主的につながりはじめたんです。

松澤:派生コミュニティに会社がどこまで関わるか、あるいは許容するか否かは、コミュニティを運営しているとよく直面する問題です。森ビルとしてはどういうスタンスで関係していましたか?

佐藤:会社の事業ではなく非公式な活動なので、関係性を探りながら様子を見ていました。「ヒルズブ!」を自走させるために我々が会社として関与することはありませんでしたが、「活動は応援したい。社内調整はするから、何かやりたい時は事前に相談してほしい」ということをきちんと伝えていました。

 たとえば、テレビCMの撮影などの営利活動を森ビルの中で行うときは、使用料金が発生します。なので「勝手に動画を撮影したら使用料が発生するけど、事前に伝えてくれたら最大限できることは協力する」というように、既存のルールからコミュニティが逸脱しないような舵取りを行っていました

 元々「Hills Breakfast」からの信頼関係があったからできたことかもしれませんね。そのうち、森ビルで受ける取材を「ヒルズブ!」に受けてもらったりするなど、協力し合える関係が築けてきました

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コミュニティの目的・存在意義は変化するもの

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この記事の著者

松澤 亜美(マツザワ アミ)

 コミュニティマーケティングを専門とするコンサルタント。2014年より、Pinterest Japan3人目の社員としてコミュニティマーケティングマネージャーを務める。その後2016年10月からadidas Japanでブランドマネージャーを務めたあと独立。現在は企業や個人に対し、自走するコミュニティの企画運営、活性化をメインに、コンサルタントとして活動している。

 また、2008年に異文化理解コミュニティLunch Tripの共同代表としてコミュニティを立ち上げて以来、国内4拠点や海外、保育園などで活動を拡大し続けている。その他、トラベルブロガーとして世界45カ国以上旅しながら各誌コラムを掲載したり、J-waveでトレンドコーナーを担当したこともある。

 配信ブログ:「Ami-Go!旅と食とピクニックと。」

 

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/12/11 09:00 https://markezine.jp/article/detail/27447

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