デバイスを超えてユーザーを識別/アドフラウドに対応した効果測定
2、IDグラフ
米国において、消費者は平均で5台の端末、25のIDを使いまわしていると言われている。企業側はデータを一元管理したいものの、分断しているのだ。このフラグメンテーション化が進む状況を、IDグラフで統合し解決する。IDグラフにより、端末、Cookie、世帯を紐づけることが可能になる。どれか1つでもIDがつながることで、解決策が見えてくる。

例えば、2つのCookieが同じメールアドレスを使ってログインをするケースを想定してみる。この段階で2つのCookieは同一人物だとわかる。別の日に、そのCookieを用いたモバイルIDが登場し、毎晩帰宅時に同じIPアドレスを使っていたことから、そのCookieとモバイルIDは、同一人物と断定できる。
さらに、先のメールアドレスに匿名化された人物プロファイルを紐づけると、全てのCookieと端末がある1人の匿名人物に紐づけられたことがわかる。次にそのスマホの位置情報と、世帯の位置情報が同定できるかもしれない。スマホの位置情報から住所がわかるので、同定は簡単だ。このように全ての端末をつなげることができる。このように紐づけていくことで、広告主が最もリーチしたいユーザーに広告を出せる確率が高まるのだ。
「1人の情報が25のIDに分断し、バラバラになっている情報を1つのプロファイルに集約することに、どれだけ価値があるかは想像に難くないでしょう。このようにして、オーディエンスの品質を高めることができるのです。
IDグラフは非常にパワフルなゆえに、IDが間違えて紐づけられてしまうと、大きな影響が発生することもあります。裏を返せば、品質と精度が高い緻密なIDグラフを作ることが非常に重要なのです。だからこそ我々は、データサイエンスを駆使して、高品質かつ高精度なIDグラフを担保しています」(ロビン氏)
3、メジャメント
昨今、アドフラウドへの問題意識が高まっている。オラクルはこの課題に向き合い、インプレッション数をより正確にカウントするためには、そこに人間が存在し(ロボットではない)、ブランド価値が毀損されない安全な広告環境のもと、広告が画面表示される状態が前提条件であるべきだと考えている。そして、消費者の目を引くことも重要だ。

「今年は4月にMoatという企業を買収しましたが、Moatが最も注力していたのが『Human, Viewable, Brand Safe, and Attentive』です。広告がきちんとユーザーがいるところに配信され、広告の可視性やブランドの安全性が担保され、目を引くものであるという点です。
我々の使命は広告主に対して、費用対効果をさらに高める支援をすることです。データドリブンなターゲティングを行い、効果測定をすることで、マーケターはよりインテリジェントな意思決定をすることができるのです」(ロビン氏)
データとサイエンスを掛け合わせ、価値を生み出す

米国ではすでに本格的に展開している「Oracle Data Cloud」。活用している業種は自動車、小売り、一般消費財メーカー、IT、金融サービス、エンターテインメント、通信、その他様々な業界にわたり、BtoC/BtoBの両領域で広がっているという。
先ほど特長の1つに挙げられた「精緻なターゲティング」だが、実行するにはデータ分析が必須だ。しかし、一般的な事業会社にはデータサイエンティストがいないことが大半だ。そのような企業は、どうやって取り組めばいいのだろうか。また分析には人的な工数もかかってくるが、その投資対効果をどう考えればいいのか。
「オラクルにはデータサイエンティストが150人ほどいます。そういった企業のニーズがあれば、支援する体制が整っています。我々の強みは、データにサイエンスを掛け合わせ、価値を生み出すことができる点です。したがって、積極的に広告主ともコラボレーションをしていく姿勢です。ただし、その取り組みを実施するためには、クライアントと非常に緊密な関係構築が必要です。
オラクルがオーディエンスを作り、そのオーディエンスに広告主がリーチしてくる。パブリッシングパートナーには、メディアを使って我々の作ったそのオーディエンスと紐づけをしてもらう。パブリッシャーにとっても、非常にメリットのある取り組みです。
投資対効果の点では、例えば広告費が少ない企業でも、賢いお金の使い方を我々が支援することで、メリットがあると思います。実際、我々は米国で多くの小規模な企業を支援しています。一方で、大手の一般消費財メーカーをはじめとした大企業ともタッグを組んでいますし、もちろん中間層も我々の顧客です。広告費の大小や企業規模に関わらず、すべての企業にとって、データは世の中を良くすると考えています」(ロビン氏)
