分析データを眺めるだけでは何も変わらない
時間をかけて分析しても、その分析データを眺めているだけでは何も改善しないことは、多くの人が知るところです。分析を通じて悪化傾向であることを捉え、サイトの課題を洗い出したら、それを解決するために何らかのアクションを起こす必要があります。
このアクションはサイトリニューアルを行うとかデザインを一気に変えるといった大々的なものではありません。私の経験上『ちょっとした改善』で予想以上の効果を生み出すことは非常によくあることです。『ちょっとした改善』とは、ボタンの色や位置を変えたり、ファーストビューのメッセージを少し変えて目立たせたり、といった時間もコストもあまりかからないようなものです。
私の所属するデジタルフォレスト社では、このようなデータ分析+ちょっとした改善のお手伝いのための「Webコンシェルジュサービス」を提供しています。その事例にも、認視性を高めるために資料請求ボタンの色を変えただけで遷移率が10ポイント程度改善、ある2つのボタンの位置を入れ替えるだけでコンバージョン率が20ポイント程度改善、行き止まりをなくすためにリンク配置するだけで遷移数が倍増、といった例が多々あります。

全てのデータを見てはならない
リスティング広告の効果を上げるために全てのワードのクリック数、CPC、直 帰率、コンバージョン数、コンバージョン率、CPAを把握し、知りたいからといって50ページくらいの個々のPV数や閲覧時間を見たりするWebマーケターもいたりします。
確かに詳細に分析することによって、サイトやユーザーのことをより詳細に知ることは出来ますが、かける工数に対して生み出される効果は実は少なかったりします。「作業工数」対効果、すなわち費用対効果が良くないのです。
データ分析をする際は、大きなところから始めて必要に応じて小さなところを深堀することが極めて重要です。大きなところとは、例えば、閲覧数の多いページ、流入数の多いページ、投資額の大きい広告やワード、サイトの中で重要度の高いページ、ビジネス上重要度の高い商品ページ、などが挙げられます。せっかく時間をかけてアクセス解析をするのですから、細かな部分に時間をかけるのではなく、改善効果の大きい部分に時間をかけてみてください。
今回は、アクセス解析を行う上でのコツをいくつか紹介しました。このようなコツを踏まえることにより、より効率的・効果的にアクセス解析を行って頂ければ幸いです。当連載の最終回である次回は、アクセス解析を効果的に行う上での組織上の課題について紹介していきます。