ファイナンス関連アプリ:個人間送金アプリで決済がさらに多様化
ファイナンスアプリは利便性を訴求するだけでなく、セキュリティに対する生活者の懸念を克服する必要がある。これは新しい話ではなく、クレジットカードやATMなど、過去のイノベーションでも同じだ。
米国で人気のVenmoなどの個人間(P2P)送金アプリは、フィンテックの中でも目立つ存在だ。P2P送金アプリは現金や小切手に取って代わり、ミレニアル世代を中心とする消費者の支払い方法を一変させた。2018年にはそのサービス範囲を拡大することで、収益機会を増やし、従来の銀行との競争激化に対抗し、ユーザーエンゲージメントの強化を図るとみられる。
そして、オンライン振込やサードパーティー決済の成長が、P2P送金アプリの取引量を増加させるだろう。特にサードパーティー決済は、小売業者や販売業者が支払いオプションに採用していることが追い風になっている。
またこの分野には、メッセージングやソーシャルネットワーキングなど、自社の大きなユーザー基盤に対するサービス、マネタイズ、エンゲージメントの新たな手法を常に模索している他のカテゴリーから参入が増えることが予想される。
滝澤氏は「日本では現金を中心とする商取引に加え、ATMといったインフラが整っており、電子マネーの普及はまだまだです。しかし現金文化を支える見えないコストがあり、消費者が結果的にそれを負担しています。モバイル決済や現金を受け取らないサービスの台頭で、そういったコストが顕在化していくでしょう」と説明している。
総じて、アプリに対する期待の高まりによって、開発者によるイノベーションと技術進化はさらに加速するだろう。他の手段でも実行できる活動をなぞるだけのアプリでは、ユーザーはもはや満足しない。人々はアプリに対して、様々な目的やタスクをこなす方法を根底から一変させ、なおかつ、他のプラットフォームでは実現不可能な、まったく新しい体験を生み出すことを期待するようになっている。