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カンヌライオンズ受賞作を、「PESOオーダー」分析してみる

2018/01/09 09:00

 日本ではすでに定着したトリプルメディアという言葉。英語圏ではPOEM(ポウム)と呼ばれており、その発展形のPESO(ペソ)を基にした新しいフレームワーク「PESOオーダー」を本連載では提唱・解説していきます。今回はカンヌライオンズの受賞作“Fearless Girl”等を例にとり、PESOオーダーで分析してみます。

カンヌライオンズ2017における最大の話題作“Fearless Girl”

 前回、トリプルメディアは海外ではPOEM(ポウム)と呼ばれており、その発展形として、OwnedをさらにOwned(マスメディア露出)とShared(消費者による口コミ・拡散)に分けて考えようというPESOも提案されていること。さらに筆者からの新提案として、“PESO活用の順番(Order)”を重視する「PESOオーダー」という考え方をご紹介しました。

日本広報学会第23回研究発表全国大会での著者の発表資料より(以下、同)

 この「PESOオーダー」は、実際に広告コミュニケーションをプランニングする時にも力を発揮すると思っているのですが、まずは事例研究ということで、カンヌライオンズ受賞作の幾つかを、この「PESOオーダー」で分析してみましょう。分析に当たっては、カンヌライオンズ応募の際の事例ビデオと事例ボードを主な情報源としつつ、Web上の記事なども参考にして行きます。

 カンヌライオンズ2017の最大の話題作と言えば、それは間違いなく“Fearless Girl(恐れを知らぬ少女)”でしょう。18部門中4部門のグランプリ(チタニウム、アウトドア、PR、グラス)他、10のゴールドを含め18もの賞を受賞しました。このFearless Girlの概要をまずご紹介して、その後に、「PESOオーダー分析」してみたいと思います。

 これは、世界3位の運用規模を誇るState Street Global Advisors(以下、SSGA)というアメリカの投資ファンド会社が発売した、“SHE”という新しい株式ファンドの広告コミュニケーション。SHEは、役員に占める女性割合が高いなど女性が活躍する会社の株式ばかりを集めたファンドです。その商品特性から、広告コミュニケーションのメッセージは、もっと“女性のパワーを知ろう”といったものになるわけです。そこで、一体、何をやったのでしょうか?

 金融街ウォール・ストリートそばの、ニューヨーク市が管理する小さな公園に、少女の像を設営しました。基本的には、“ただ、それだけ”です。足元には、「リーダーシップにおける女性のパワーを知ろう!」と書かれたプレートが置かれ、「“SHE”は違いを作り出す。SSGA。」と掲げられました。

 この小さな公園には、既に有名な別の像が存在していました。それは、荒々しい牡牛をモチーフにしたチャージング・ブル。1987年の株式大暴落(ブラックマンデー)を受け、アメリカ株式市場のパワーの象徴として製作、設置されたもので、ブルはオスの牛であり、当然、男性のパワーの象徴とも見受けられます。

Fearless Girl(恐れを知らぬ少女)
出典:YouTubeより

 このチャージング・ブルと対峙する形で、その数メートル先に“Fearless Girl”像は設置されました。2017年国際女性デー前日の3月7日に忽然と。攻撃的に荒ぶるオスに対峙して、恐れを知らぬ少女は、毅然と立ち続けます。その姿は、またたく間に新たな観光名所となり、多くの人が一緒に撮った画像をSNSに投稿しました。当初1週間の予定で設置されたのが、延長を求める声が相次ぎ、現在では2018年国際女性デーまでの1年間の設置が決まっているそうです。

 Twitterでは46億回、Instagramでは74,500万回表示され、商品である“SHE”ファンドは347%の増加を記録したといいます。

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