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【特集:LINE活用】パートナー企業が語るビジネスへの影響と進化(AD)

CSとマーケのエコシステム構築へ 「AI Messenger」の活用法から探るチャットボットの可能性

 ここ数年で、チャットボットサービスは急激に増加した。そんな中「LINE カスタマーコネクト」をはじめ、多くの外部ソリューションと連携したチャットボットサービスを提供しているのが、株式会社AIメッセンジャーだ。同社のチャットボットサービス「AI Messenger」では、カスタマーサポートだけでなく、LINEを通じたマーケティングへも活用の幅を広げている。LINEにおけるデータを活用した「人」単位での双方向のコミュニケーションなどについて、同社 取締役社長 石川氏と開発責任者の横道氏に伺った。

開発から運用サポートまでワンストップでサービスを提供

(左)株式会社AIメッセンジャー 代表取締役社長 石川大輔氏
(右) 株式会社AIメッセンジャー 開発責任者 横道稔氏

――株式会社AIメッセンジャーは昨年、チャットボットサービス「AI Messenger」をリリースしました。「AI Messenger」は外部サービスとの連携や新機能の追加などにより、サービスの領域を拡大し続けています。今回は主に「LINE カスタマーコネクト(以下、カスタマーコネクト)」との連携で生まれるメリットについて、株式会社AIメッセンジャー 代表取締役社長 石川大輔さんと、同社 開発責任者の横道稔さんにお話しを伺いたいと思います。初めに「AI Messenger」のサービス概要を教えてください。

石川:「AI Messenger」はAIを活用したチャットボットサービスです。特長は、会話エンジンの開発からチャットセンターの運営、インターフェースの管理、運用など一連のサービスを自社で提供しているところです。

 昨今、チャットボットサービスが急増していますが、その多くは会話エンジン開発のみであったり、管理画面の提供のみというように、部分限定的なサービスにとどまっています。弊社ではクライアントのニーズに応え、常に運用の精度を向上できるよう一気通貫でサービスを提供しています

――ワンストップでのサービスが提供できるのは、御社の組織体制などに強みがあるからでしょうか?

横道:そうですね。特に、コンサルティングを行う部隊を設けていることは大きな強みです。チャットボットを導入したものの「どう使えば良いかわからない」というお客様は少なくないので、こうしたサポートも含めて総合的なソリューションを提供できる点は、組織体制を整えている弊社ならではの特長だと思います。

コミュニケーションのパーソナライズ化へ

――企業は「AI Messenger」の活用により、どのようなメリットが期待できますか?

石川:「コスト削減」と「マーケティング」の部分で、大きな利点があります。まず、コスト削減については、チャットやAIを取り入れることでコールセンターの人員を削減することができますので、コストの削減が実現します。

 ただ、「AI Messenger」を導入したら、すぐに業務負担が減りコストがカットできるわけではありません。ユーザーにとっては、電話よりもLINEで問い合わせるほうがハードルが低いので、導入後は問い合わせが増加します。今まで問い合わせをしてこなかった「サイレントカスタマー」が、存在を現し始めるのです。

 それからAIが問い合わせの内容を学習していきますので、チャットで自動応答できる問い合わせが増えていきます。そうして結果的に、1人分、2人分と業務負担が減っていきます。

――問い合わせに対して、チャット上でAIはどのように応対するのでしょうか?

横道:基本的には、問い合わせの内容に対して、AIが選択肢を表示しながら問題の解決へ誘導していきます。たとえば、ユーザーが悩みながら考えた長文に、AIが「そうですか」と一言で返してしまうのは、ユーザーに申し訳ないですし、そういった対応は避けたいですよね。ですので、チャットではインタラクティブであることを重視し、ユーザーがどのように入力すれば良いかわかるようにコントロールしています

――「マーケティング」で活用する場合は、どのような利点が考えられますか?

石川:LINE ビジネスコネクト(以下、ビジネスコネクト)」を活用している企業の場合、ビジネスコネクトで獲得したデータも、「AI Messenger」で利用することができます。つまり問い合わせへの応答だけでなく、企業からパーソナライズされたコミュニケーションを仕掛けることが可能になるのです。

 たとえば、ビジネスコネクトではLINE IDと企業の会員IDを連携させることができます。この2つを連携させると、ユーザーが購入した商品などがわかります。「先週はお水をご購入いただき、ありがとうございました」などというように、企業の方からユーザーにメッセージを送信することができるのです。人単位でコミュニケーションができることは、マーケティングにおいて大きな可能性をもたらすと考えています。

プッシュメッセージでユーザーを口説き落とす!

――先日は、「AI アウトバウンド」というサービスもリリースされていましたよね。

石川:ええ。このサービスは、プッシュメッセージを送ることで、ユーザーのチャット活用を推進するものです。LINE上での活発なコミュニケーションを通して、LINEを企業の新たなチャネルとして確立させていきます。

 また、このサービスで得た知見をビジネスコネクトなどのCRM運用に還元するために、エコシステムを構築していきます。これにより、ユーザーコミュニケーションを全体的に向上し、収益の拡大も実現させることができると考えています。

――どのような活用の仕方をイメージすれば良いでしょうか。

石川:商品やサービスの購入前に、最後の一押しをプッシュメッセージで行うという活用の仕方がひとつありますね。友だち登録してくれている人、問い合せをしてきた人は、商品に興味を抱いていると判断できますから、そのようなユーザーを最後に口説き落とすのです。

 特に高額な商品やサービスを提供されている企業は、こういった手法が有効的だと思います。このように、カスタマーコネクトとビジネスコネクトを活用されている場合、様々な切り口からユーザーとのコミュニケーションを図ることができます。

――「問い合わせ」はユーザーからの自発的な行動なので、素直な意見が聞けるかと思います。こうした意見は、企業にとってインサイトの発見などにつながる“データの宝庫”でもあるはずです。チャットボットサービスでは、主にテキストでこうしたデータが蓄積されていくことになりますが、これをマーケティングに活用することも可能ですか?

石川:可能です。確かに、チャットボットで蓄積されたデータをマーケティングに活用したいと考えている企業は多いです。しかし、実際に活用できている企業はまだ少ないのではないかと思います。

 その原因は、データの貯め方に問題があります。データの貯め方から設計していかないと、次の段階の活用にはなかなかつながりません。データドリブンの環境が整ってきて、AIの活用がさらに有効的になると言われています。そこで最も重要なのは、「データをどのような形式で蓄積して、どのように活用するか」を初めに設計すること「AI Messenger」では、そういった最初の段階からサポートしています

LINEに根付いたチャットの文化をカスタマーサポートへ展開

――「AI Messenger」は、2017年4月からカスタマーコネクトとのパートナー連携を開始しています。LINEのソリューションを掛け合わせることで、マーケティングにおける「AI Messennger」の活用の幅は大きく広がったかと思います。カスタマーコネクトと本格的に連携を開始した当時、どのような狙いがあったのでしょうか?

石川:LINEは今や、国内に約7,100万人のユーザーを抱えている巨大なプラットフォームです。そんなLINEが、企業のカスタマーサポートに活用できるソリューションをリリースしたことは、我々の事業にとっては追い風だと判断し、いち早くパートナーシップを組みました。

 またチャットボットサービスは2016年頃から提供していました。しかし、企業に問い合せをする時にチャットを利用する文化自体が、生活者に浸透していなかったのです。この課題について試行錯誤を繰り返した結果「チャットボットサービスの啓蒙には、既にチャットの文化が根付いているプラットフォーム上でサービスを展開するのが最適かつ最速なのでは?」と考え、連携に至りました。

カスタマーコネクトのサービス概要
カスタマーコネクトのサービス概要

【 LINE カスタマーコネクト とは
 コンタクトセンターがLINEを介して、AIや有人によるチャット対応や音声通話対応などをシームレスに行い、状況やニーズに応じたカスタマーコミュニケーションを実現するサービス。以下4つの機能があり、ニーズや既存のシステム環境などに合わせて、各種連携システムから自由に組み合わせて実装することができる。

(1)事前に登録したFAQをベースに、問い合わせに対してAIが自動応答で対応する「Auto Reply」
(2)各種チャットサービスと連携し、有人による細かなサポートが可能な「Manual Reply」
(3)Webサイトに設置したボタンやリンクからIP電話に接続し、ユーザーの料金負担無しの通話対応ができる「LINE to Call」
(4)携帯電話番号情報を基に、IVRやオペレーターからユーザーのLINEアカウントにメッセージを送信し、LINE上のチャットサポートに誘導する「Call to LINE」

(※)ユーザーが電話番号を非通知でかけた場合や、LINEで年齢認証をしていない場合は紐づけ不可

事例:ユーザーニーズに合わせたパーソナライズ配信でCV増加

――「AI Messenger」とLINEのソリューションを掛け合わせた実際の活用事例を教えてください。

石川:ある教育系のサービスを提供している企業が「AI Messenger」とビジネスコネクトを活用して、効果的なコミュニケーションを図った事例があります。

 教育系のサービスですので、ターゲットは保護者になります。また、お子さんの年齢を把握しておくことが重要ですよね。そこで、ビジネスコネクトから得たお子さんの学年の情報と、問い合わせで寄せられたお悩みを連携させて、それぞれのユーザーに適したパーソナライズ配信をチャットで行うことができました。

 本来はユーザーの問い合わせへ対応するサービスなのですが、チャットボットで企業側からコミュニケーションを図った結果、コンバージョンが増加しました。また、チャットボットからオペレーターにつないで対応したケースもありましたが、そこでもコンバージョンが高くなる傾向がありました。

ユーザーにも企業にも価値のあるサービスの提供へ

――今後の展望をお聞かせください。

石川:全体としては、カスタマーコネクトとビジネスコネクトを掛け合わせたマーケティングをシステムとして構築していきたいと考えています。単体でも価値のあるソリューションですが、掛け合わせることで様々な切り口からマーケティング施策が行えるので、両者を連携させたシステムを整えていきたいですね。

株式会社AIメッセンジャー 開発責任者 横道稔氏

横道:「AI Messenger」は、2017年12月に、カスタマーコネクトの全機能との連携を開始しました。その中でも「Call to LINE/LINE to Call」との連携は、プロダクトの可能性を高めました。

 この変化には多くの企業が大きな関心を寄せています。Web上でチャットサービスを展開していた時は、チャットと電話でカスタマーサポートが分断されてしまうところが難点でしたが、「Call to LINE/LINE to Call」によって、電話応対とチャットボットサービスを統合することができるからです。我々としては、新たなチャレンジになりますが、マーケターの期待に応えられるようなサービスを展開できるよう注力していきます。

――最後に、パートナー企業として、LINE社側に期待していることはありますか?

石川:LINEが有するユーザーデータは、これからさらにマーケティングにおいて価値を高めていくでしょうし、もっと活用されていくべきものだと考えています。弊社では、LINEと連携して取り組んでいける体制を整えていますので、もっと深く連携して、システムの開発などから取り組んでいけたらと思います。

横道:あとは「カスタマーサポートの啓蒙」の部分でしょうか。チャットとLINE電話を組み合わせたカスタマーサポートのサービスの存在、便利性などの啓蒙に期待しています。ユーザー体験を損なわない形で、企業にもユーザーにもメリットがあるプラットフォームの実現に向けて、両社で尽力していきたいです。

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この記事の著者

松崎 美紗子(編集部)(マツザキ ミサコ)

1995年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、新卒で翔泳社に入社。新入社員として、日々奮闘中です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2018/01/17 10:00 https://markezine.jp/article/detail/27617