SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

アプリデベロッパー視点、フラウド対策、端末ごとのLTV計測 Adjust CTOに聞く最新トピック

フラウド対策を高度化し、フラウドを諦めさせる

――それぞれのトピックについて詳しくうかがっていきます。まずはアドフラウド対策についてです。従来のアドフラウド対策は、不正が起きた後にレポートで報告をするシステムが主流でした。Adjustでは、アドフラウドが起きる前に検知し防ぐことができるそうですね。

ミュラー: Adjustのアドフラウド対策の基本方針は、不正なインストールが発生する前にネットワークを遮断する「フラウド・リジェクション」です。不正が起きてしまってから報告する「フラウド・レポーティング」ではないのです。インストールそのものができなくなるので、CPIのコストが発生しません。

 インストールのスタート前に、アクセス元のデータセンターやVPNのIPアドレス照合を行っています。また、ロボットだと想定されるアクセスも遮断しますね。世界のトラフィックの10%から20%が不正だとみなせるなか、Adjustではそのほとんどに対して対策できています。

――アドフラウドの手口は巧妙に変化しています。Adjustをはじめとするベンダー側も新たなフラウド対策を講じて明らかにしていますが、フラウドに対して勝利を収める公算はあるのでしょうか。

ミュラー: 私たちの考えるアドフラウド対策は「不正をあきらめさせること」です。すべての不正なアクセスを遮断するのではなく、不正をするコストをあげることで、不正という行為そのものを諦めさせたいという考えですね。

 そのためにも、アドフラウドは世界中のサービス事業者全体で一丸となって対応していく必要があります。そこでAdjustは、今年の9月に不正防止連合(CAAF)を発足させました。日本からはDynalyst、アイモバイル、nendがメンバーとして参加しています。

アイテム不正入手は放置しておくとROI評価が狂う

――不正を諦めさせるというのはユニークな考え方だと思います。またAdjustでは不正購入対策も提供しているとうかがいました。

ミュラー: 不正購入とは、ユーザーがアイテムをGoogleやAppleのアプリストアといった正規のルートで購入するのではなく、クラッキングして無料で手に入れる行為をいいます。個人による不正の割合が高いですね。国によって程度に差はありますが、すべての購入イベントのうち5割から9割は不正購入だと私たちは考えています。東南アジアは特にひどいですね。

 売り上げにも深刻な影響が出ますし、課金ユーザーとクラッキングしているユーザーが混ざってしまうと、正しいROIが計算できません。

――Adjustは、どのような仕組みで不正購入を防いでいるのでしょうか。

ミュラー: 決済が正しく完了すると、アプリストアからディベロッパーへ購入履歴情報が届きます。アプリをクラッキングしてアプリストアを経由しない場合は、その情報が存在しません。この仕組みを利用し、照合を行うのです。

 有料アイテムを配信するときに、同一ユーザーによる購入履歴がアプリストアないしAdjustにあるかどうかを確かめ、履歴がなく不正とみなせれば配信をブロックしています。ゲームのアイテムだけでなく、メディアなどのサブスクリプションモデルであっても、アプリストアを通じて購入するものであれば、同様に対策ができます。

ユーザー行動によってリアルタイムにセグメント修正

――正しいROIを求めるためにも、アドフラウドおよび不正購入の対策が重要だということがわかりました。続いて、オーディエンスビルダーについてもうかがえますか。

ミュラー: オーディエンスビルダーは、ユーザーセグメントを作成するだけでなく、アドネットワークへ端末(ユーザー)固有のIDであるIDFA(Identification For Advertisers、iOS用広告識別子)やGAID (Google Advertising ID、Android用広告識別子)を共有し、リターゲティング広告を配信することができます。

――セグメントは、どのようなデータに基づいて設定ができるのでしょうか。

ミュラー: ユーザーセグメントは、継続率(リテンション)や課金額に応じて作成できます。さらにユーザーのリアルタイムな行動に応じて、自動的にセグメント間を移動させることも可能です。

 たとえばLTVが0から5ドルのセグメントA、5ドル以上のセグメントBという2つのセグメントがあるとします。あるユーザーが課金をしてLTVが5ドルを超えた場合、ユーザーは5分以内にセグメントAからBへ移ります。たいていの計測ツールでは、1日ごとにセグメントを切り直すことを思うと、実に画期的なことです。

 自社の分析システムを利用している企業でも、この機能にメリットを感じオーディエンスビルダーを使うケースもありますよ。

次のページ
平均ではなく端末ごとのCPI集計が実現

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2018/01/11 07:00 https://markezine.jp/article/detail/27618

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング