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自社に合ったブランドセーフティ、Oath Japanが語る実現方法

絶対的「解」のないブランドセーフティ、対策が難しい原因とは

ブランドセーフティによって生まれた悩み

 ブランドセーフティを実現していく上で、広告主自身でもブランドセーフティに対する理解を深め、自社の基準を持ち、それを広告配信戦略や設計に適用していく、ということが最終的に重要になってきます(具体的な対応策は次回以降に記載します)。

 一方で、そこにはいくつか「ブランドセーフティ」というテーマそのものが持つ、特有の「悩み」があり、今回はそれらの中から、いくつか例をあげてみたいと思います。

定性的にならざるを得ないブランドセーフティ基準

 前述したビューアビリティやアドフラウドといった要素は、ブランドセーフティに比べて定量的な指標を容易に定義することができるのは、皆さんも想像できるのではと思います。

 ビューアビリティでいえば、一定程度以上のIn-view率を持つ枠を購入する、eCPV(拡張広告視聴単価)といったKPIを定義し、たとえIn-view率が低いものであっても、その分より安く購入できるのであれば購入することで、eCPVを確保していく、といったことが可能です。

 アドフラウドについても、どういう基準でトラフィックを「アドフラウド」として判定するかは、多くの場合技術仕様として決まっているため、基準という意味では明確です。

 一方でブランドセーフティは、多くの場合、その基準は定性的な要素を多く含み、結果として一概に白か黒か判断しきれないケースがほとんどです。違法サイトかどうか、アダルトサイトかどうか、といった基準であれば、白か黒かについて比較的誰が判断しても同じような判断ができます。しかし、ほとんどは担当者または扱うブランド基準やポリシーによって判断が異なるため、非常に定性的でグレーゾーンのような領域ができてしまっています。

リスクを完全にゼロにはできない

 もう一つは、リスクを完全にゼロにはできないということです。前述したように、プログラマティック取引における在庫の調達経路は複雑かつ、そのボリューム自体も膨大であるがゆえに、事前にコンテンツチェックを行うことは事実上不可能です。

 もちろんホワイトリスト配信機能を利用し、リーチする面を限定していくことも一つの解決手段でしょう。しかし、それによって多種多様な広告インベントリの中から、適切なオーディエンスに対して効率よくリーチできる、というプログラマティック取引の大きなメリットの一つを享受できなくなります。

 また、もし仮になんらかのソリューションで事前チェックがある程度できたとしても、Webサイトは常に変化し続けるものであり、広告が配信されるその瞬間、当該サイトやコンテンツがどのような構成や内容になっているかはわかりません。コンマ何秒という世界で入札が行われる世界で、その瞬間にコンテンツをクロールし解析することは当然ながらできません。

 ブランドセーフティについて、今後、その対策も含めて記載していきますと書いてはいますが、プログラマティック取引を前提とした場合、ブランドセーフティに関するリスクを完全にゼロにすることはとても難しいです。これもブランドセーフティ対策を考える場合の、悩ましい要素の一つになっていると感じます。

「解」のないテーマだからこそ解決のヒントを

 ここまでブランドセーフティについて、その背景や周辺の状況について極力わかりやすい表現になるよう心掛けて書いてみました。ただ、筆者自身も書けば書くほど悩みが浮かび、何か一つの絶対的「解」のないテーマについて書き始めてしまったと感じています(笑)。

 とはいえ、理想論を語るだけではなく、あくまで実情を踏まえながら、多少生々しいかもしれませんが、ブランドセーフティの今について書くことで、皆様の日々のマーケティング活動を考える上での一助になれば幸いです。

 次回はさらに踏み込んで、ブランドセーフティ対策を考えたとき、具体的にどういった対策、手段、選択肢があるのかを解説したいと思います。

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この記事の著者

高橋 俊仁(タカハシ トシヒト)

 Oath Japan株式会社、プロダクトマネジメント&テクノロジー部 部長 2015年2月より現職。OathがGlobalで提供する広告配信プラットフォームテクノロジー全般を統括。また、オーディエンスデータ連携案件を中心に、ビジネスニーズ実現に対しテクノロジーの見地からサポートする、技術コンサル的な役割も担う。O...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/01/30 09:00 https://markezine.jp/article/detail/27753

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