実際にマーケティング部や宣伝部で活用進む
MZ:なるほど! それは、「90%が『カラーコンタクトレンズを付けた方が魅力的』と回答した」といわれるより、信憑性が高そうです。自己申告してもどうなんだ、みたいな調査だと説得力があまりないというか。
原:このようなPR活用の他にも、先ほどお話したパッケージ調査や動画のクリエイティブ評価、スマホのUI/UX改善などに使いたいといった依頼も受けています。
MZ:もう完全に実用フェーズですね。御社が今扱っている案件を発注元や用途で分けると、どのような状況なのでしょうか?
原:おおまかに、6割がメーカーの研究所、4割がマーケティング・調査部や宣伝部からご依頼をいただいています。研究所では、たとえば新しい映像技術を使えるスクリーンができたとき、それを見ることで視聴者の心理に変化があるのかといった技術受容性を確認したり、実際にできあがった製品・サービスの仕様や効能を評価したり、自動車の乗り心地のようなアンケートでは回答しにくい感覚的な部分を明らかにしたりするのに使われています。
マーケティング領域だと、前述の通りPR活用やテレビCM、Web動画広告のクリエイティブ評価、商品コンセプトの評価などに応用されています。
Web動画や商品コンセプトのチューニングに有効
MZ:動画のクリエイティブ評価とは、テレビCMやWeb動画を事前にモニターに見てもらって、編集を改善していくということですよね? それは、有用性が高そうです。実際に事例はあるのですか?
原:2015年に1,000万回以上再生されてネット上で話題になったWeb動画があるのですが、その制作時に我々の共感度測定調査を使ってもらいました。パイロット版をモニターに見てもらい、共感を呼んでいるところ、逆に注意が下がるところを把握しました。それを元に、共感度や注意などが低くなる部分で音楽を盛り上げてアテンションを引いたり、不要な部分をカットしたり、全体のトーンを調整したりしたと聞いています。
MZ:それはまさに、事前に知ることができるとかなりチューニングができそうですね。コンセプトの評価、というのは?
原:これも今増えている依頼ですが、同じ商品やサービスでもコンセプトやコミュニケーションメッセージが違うと、受け手の印象は大きく変わりますよね。
リリース前に、ニューロリサーチで反応を把握することで、より注意を引き、印象が良く、バズが起こりやすいコンセプトに寄せていくことができます。文章だけでなく、営業トークやサンプリング時に声をかける時のメッセージの改善等にも有効だと思います。
また、今アマゾンやグーグルの音声エージェント端末が急速に広がる中で、広告などの音声でのアテンションに改めて注目が集まっています。音声広告を聴いた際の心理変容などの測定にも、ニューロリサーチが大きく貢献できると思いますね。
――後編では、実際にマクロミルのニューロリサーチを使った「フリスク」(ペルフェッティ・ヴァン・メレ・ジャパン・サービス)の事例を中心に、バズにつながる「共感度」という独自の指標の活用とその効果に迫っています。後編はこちらへ。
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