BtoCマーケターが仕事のヒントやアイデアを見つけられる!
『AIに対するイメージ調査』などの最新トレンドから『花粉症患者1,000名にきく、症状と対策に関する調査』といった時節ネタまで、幅広いテーマで消費者の本音を覗くことができる市場調査メディア「HoNote(ホノテ)」。同メディアは、調査領域の事業を展開するマクロミルが運営しているオウンドメディアだ。
ホノテという独得なネーミングは、「消費者の本当“Honto”や本音“Honne”がわかるノート“Note”」というメディアのコンセプトを表現したものだという。これまでに100件以上の調査レポートと、それにまつわる詳細なデータ資料をダウンロード形式で提供している。
運営・編集を担当する同社マーケティング&プロダクト本部の吉村咲紀氏は、「HoNote」のターゲット読者を次のように説明する。
「『HoNote』が想定している読者層は、BtoCビジネスを中心とする業界のマーケターや商品開発担当者の方など、消費者の声をビジネスに活かしたいと考えている方全般です。日頃の仕事に役立てたり、企画のヒントにしてもらえるような調査結果をコンテンツとして揃えています。
また、マーケティング調査というと難しい・コストがかかるというイメージがある方も多いかと思います。そういった方々に、まずは調査自体に興味をもっていただくことを狙いとして運営しています」(吉村氏)
マクロミルは調査事業を軸に各種サービスを提供しているが、その中で「HoNote」は潜在顧客層へリーチする、カスタマージャーニーの入り口の部分に位置付けられている。マクロミルは「HoNote」を通じて、マーケターやリサーチ初心者のビジネスパーソンを支援していく。
複数の調査結果を並列して見ると、新たな視点が生まれる
では、実際にはどのようなコンテンツが掲載されているのだろうか。たとえば、2018年1月に公開されたニュースメディアの利用状況や広告接触に関する調査レポート『ニュースメディアはどう使い分ける?利用状況や広告接触を調査』では、次のようなトピックが紹介されていた。
●ニュースの情報源では、圧倒的な存在である「テレビ」に次ぎ、「ニュースサイト」と「ニュースアプリ」の存在感が高まる。
●信頼性、緊急性ではともに「テレビ」が1位。
●広告接触では「テレビ」の存在感が強く、57%が「広告の内容まで見る」、38%が「その後何かしらの行動を取る」。
調査によると、ニュースはテレビで視聴するという回答が圧倒的だ。しかし一方で、別の調査レポート『テレビの視聴スタイルに関する調査。「ながら見」の実態とは?』を見ると、テレビ視聴者のうち99%が「ながら見」を経験しているとある。この数字を踏まえると、テレビ視聴が根強いという調査結果にも、別の視点や仮説が生まれるだろう。
さらに広告・メディアのカテゴリーでは、『駅の広告はどのくらい見られているの?駅メディアに関する調査』や『ライブ配信の利用状況に関する調査。利用経験者は1割、ライブ動画の発信経験者は3%』なども掲載されている。
前提として、調査によって調査対象が異なるため、単純な比較には注意が必要だ。しかし、複数の調査レポートを見比べることで、生活者の実態を広く深く掴むことができるほか、世の中のトレンドを追ったり、企画のアイデアを見つけたりすることができるのではないだろうか。
インスタユーザーは高感度で意識が高い? 調査結果+αの情報も!
次に紹介するのは、これまでで最も詳細データ資料のダウンロード数が多かったという調査レポート『2016年夏、Instagramの今(SNS利用状況調査より)』だ。これは2016年7月に行った調査「SNS利用状況調査」より、Instagramに関する情報を抽出してまとめたレポート。主要なトピックとして、以下のようなものがあった。
●知っているけれど見たことはない? Instagramの認知率は79%だが、アカウント保有率は18%。
●10代女性の36%、20代女性の34%がInstagramユーザー。
●今や、Instagramは情報検索手段のひとつに。10代女性の33%がInstagramを情報検索に利用。
また同レポートでは、調査結果を受けて次のような傾向もまとめられている。
Instagramユーザーは高感度で意識が高く、消費意欲も大きい。趣味はショッピングやグルメ、旅行。ファッションやインテリアが大好きで、良いものを他人へシェアしたいという気持ちが強い。
この傾向は、マクロミルが保有する消費者ライフスタイルデータベース「ブランドデータバンク」を基に、InstagramユーザーとSNSユーザー全体を比較してまとめたもの。HoNoteでは、ネット調査の結果だけではなく、各種データベースの分析結果をまとめたレポートなども掲載されている。
ビジネス系のテーマに加え、ネット上の盛り上がりなどもカバー
ここまではデジタルマーケター向けの調査レポートをピックアップして紹介してきたが、「HoNote」の特徴は、マクロミルが持つ1,000万人以上のパネルネットワークをベースとしたバラエティ豊かな調査レポートにある。現在は月に6~10件の調査レポートを更新しており、“トレンドを早く・わかりやすく・そして切り口を面白く”という視点で企画を立てているという。
「これまでもAIや仮想通貨など、経済や消費活動に影響を与える大きなビジネストレンドをテーマとしたり、季節性や社会性を捉えたテーマなどを取り上げてきました。企業の方が興味を持たれると思われるテーマは、もれなく押さえたいと考えています。またSNSを中心としたネット上の盛り上がりにもアンテナを張っていますね。生活者と企業、両方の視点からおもしろいと思うテーマを考えています」(吉村氏)
中でも、全レポートの中で最もセッション数が多く、たくさんの人が関心を寄せた調査レポートが『大人に人気のキャラクターランキング』だ。この調査は人気のため、毎年実施しており、2月には『2018年版、大人に人気のキャラクターランキング』も公開された。
「子供に人気のキャラクターランキングはよく見かけますが、この調査は大人に人気のキャラクターという珍しい切り口でした。販促品を考える際の参考にされる方が多かったのではないかと考えています」(吉村氏)
同調査では、20~25のキャラクターについて質問した結果をまとめている。2018年調査では、一番人気のキャラクターは「スヌーピー」だった。しかし、性年代別にみてみると、年代が上の女性ほど「スヌーピー」好きの率が高まり、逆に若い男性にはそこまで人気が高くないことが判明した。
商品の販促品やアライアンス先を探す際などは、全年代をターゲットとするか、特定の性年代をターゲットとするのかで、最適なキャラクターは異なることが読み取れる。また、キャラクターが好きな理由もまとめられており、その内容からは、コミュニケーション文脈に合わせてそのキャラクターを選ぶ必要があることがわかる。
調査結果から気づいた、生活者に起きている大きな変化
「HoNote」の運営をスタートして約2年。立ち上げから携わってきた吉村氏は、気になるユーザートレンドがあると話す。
「現在、世の中全般を語る場合の調査対象は、10代・20代~60代までを人口構成比で割り付けして調査するという手法が一般的です。わかりやすく言うと、人口構成比から世の中の縮図を見るという考え方ですね。そしてこの場合、男女や年代によって異なる傾向があることを前提にしています。
ところが最近では、男女の差や年代の差が思ったほど出ない調査結果も出てきているように感じます。調査テーマにもよりますが、今後は価値観や消費行動といった軸で分類したほうが差異が出る可能性もある。そういった調査も企画していきたいと考えています」(吉村氏)
ライフスタイルの多様化が進む現代では、調査においても一歩踏み込んだ切り口が求められるのだろう。そして既に「HoNote」では、かなり踏み込んだ調査も行っている。
「ターゲットを絞り込んだ調査も徐々に増やしていて、この種の調査レポートへのニーズが高まっていることを感じています。たとえば、昨年4月に保育士300名を対象とした調査を行いました。当時は待機児童問題などが議論されているものの、保育士がこの問題についてどう考えているのか、というリアルなデータはなかった。そのような状況を見て、調査実施に踏み切りました。結果、業界の垣根なく多くの方にダウンロードいただき、関心度が高かったことが伺えました」(吉村氏)
知りたい、というニーズに広く応えられるメディアへ
マクロミルの社内でも、「HoNote」は活用されている。営業担当者が商談の場で「HoNote」を紹介し、企業から調査ニーズをヒアリングするケースが出てきたそうだ。吉村氏は、マーケターの方などが“こういう情報あるかな?”と考えた時に、その期待に必ず応えられるようなメディアにしていきたいと意欲を見せる。
「『HoNote』をきっかけに、リサーチについてもっと知りたい、調査を実施してみたいという方も、今後はもっと出てくると思います。ですので、調査の方法やノウハウなどをまとめたコンテンツも、これから掲載していく予定で準備を進めています」(吉村氏)
今後は編集体制を強化し、更新頻度も上げていく予定とのこと。一層のコンテンツ拡充に期待が高まる。