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映像コンテンツの視聴実態

「有料VOD」の価格感を探る

 普及途上にある有料VODだが、消費者は月額でどの程度まで出してもよいと考えているのだろうか。消費者が持つ価格イメージをPSM分析と同じ聞き方で聞き、“PRICE2”という分析手法を使って、購買の可能性がある価格帯と各価格における消費者の価格感を明らかにした。

 図表4の濃いグレーの線が、消費者が購買可能(※「高すぎて払えない」~「安すぎて品質が心配になる」の間と答えた価格)と考えている割合を表している。ピークは500円(83%)で、1,000円までは8割程度の人が「最低限払うことは可能」と考えている。妥当価格帯(※「高い」~「安い」の間と答えた価格)も同様であり、500~1,000円程度が視聴者に受け入れられる現状の価格帯のようだ。もし高級路線のサービスを想定する場合には最高価格曲線のピーク帯である1,500円程度までが最も適切と言えるだろう。

図表4 有料動画視聴サービスに対する価格感(ベース:全体(n=1,000)
図表4 有料動画視聴サービスに対する価格感(ベース:全体(n=1,000)

CMに対する意識

 映像コンテンツの前後や最中に流れるCMについて、意識を確認した(図表5)。

図表5 CMの視聴状況とCMに対する煩わしさ(ベース:各サービス利用者/単一回答)
図表5 CMの視聴状況とCMに対する煩わしさ(ベース:各サービス利用者/単一回答)

 まず、サービスごとにどの程度CMが見られているのかを確認した。最高スコアは「地上波テレビ(民放)」で48%。CMを途中からスキップできる「YouTube」や「ニコニコ動画(無料会員)」は2割以下となり、CMは比較的見られていない傾向がある。

 次に、CMに対する“煩わしさ”の程度をサービスごとに確認する。視聴者にCMの煩わしさをあまり感じさせていないサービスは、「地上波テレビ(民放)」48%と「AbemaTV」59%が上位の2つである。一方、「YouTube」は78%、「ニコニコ動画(無料会員)」は74%が、CMが煩わしいと回答した。このように、無料動画のCMに比べて、「地上波テレビ(民放)」や「AbemaTV」のCMは、邪魔になるものとして捉えられにくい、ということが言えそうだ。

動画視聴サービスの現状と今後

 動画コンテンツを視聴する形態が、「テレビの前でゆっくり座って」から「スマートフォンやタブレットを使って好きな時に」へ、近年転換していると言われている。しかし今回の調査結果では、テレビは延べ視聴時間が非常に長く、まだ“影響力が強いメディア”であるということがわかった。とはいえ現状、若年層を中心に有料VODサービス、無料動画視聴サービスが浸透しつつあることから、どちらも今後重要なメディアとして捉えるべきであるだろう。

 ただし、YouTubeやニコニコ動画といった「見たいものを見たい時に、無料で見ることができるサービス」は動画広告(CM)に対してテレビ以上にネガティブな感情を持たれていることもわかった。テレビやAbemaTVなどと比較してこの感情が強いことを鑑みると、「見たいものを見たい時に」というユーザーの感覚を邪魔する形でのCM提示となっていることが要因とも言えるのではないだろうか。無料動画サービスでも、「ユーザーが見たいものを選んで見る」形式が強いサービスでのCM提示にはユーザーの感覚を邪魔しないような工夫も必要になると考えられる。

 また、サブスクリプションサービス(月額支払いサービス)の先駆けともいえるCM提示のない有料VODサービスは、現状の普及状況であっても、既存サービスの価格によってサービスに関する価格イメージがある程度確立されているようだ。このような動画視聴サービスの使われ方は今後の通信環境事情などにより変化する可能性もある。広告の出稿においては“変化”に対応すべく、視聴ボリュームの確認を定期的に行うことが必要になるだろう。

調査概要

調査主体:マクロミル
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:全国18~69歳の男女(マクロミルモニタ会員)
割付方法:平成27年国勢調査による性別×年代別の人口動態割付/
合計1,000名
調査期間:2017年12月5日(火)~12月6日(水)

・本文の数値は四捨五入した整数で表記。
・百分率表示は四捨五入の丸め計算を行っており、合計が100%とならない場合がある。

▼調査レポート
『テレビ、VOD、無料動画・・・増える動画サービス、どう楽しむ?映像コンテンツの視聴状況調査』(HoNote)

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マクロミル(マクロミル)

高品質・スピーディな市場調査を提供する、マーケティングリサーチのリーディングカンパニー。生活者のインサイト把握やデジタルマーケティング施策の広告効果測定など、マーケティング課題解決に向け最適なソリューションを提供。世界21カ国、50の拠点を展開し、唯一無二のグローバル・デジタル・リサーチ・カンパニーを目指す。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/03/04 18:01 https://markezine.jp/article/detail/27922

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