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「顧客がいる所ならどこへでも」デジタルの時代におけるCNNのメディア戦略

 衛星テレビ放送のパイオニアとして、メディア業界をリードし続けてきたCNN。日本では多くのテレビ局がソーシャル時代の到来に苦戦しているが、CNNはデジタル時代を迎えた今なお、メディア企業として大きな存在感を示している。そしてその背景には、CNNおよびCNNICが進めてきた「マルチプラットフォーム」が大きな影響を与えているという。ポスト・ケーブルの時代にCNNとCNNICが進めるマルチプラットフォーム戦略について、3月に来日したCNNICのスニータ氏とグレッグ氏に話を伺った。

「CNN Go There for Customers」顧客がいる所ならどこへでも

――今日はCNNIC(CNN International Commercial)が進めるマルチプラットフォーム戦略をテーマに、CNNICのスニータ氏とグレッグ氏にお話を伺います。初めに、普段担当されている業務を含めて、自己紹介をお願いします。

(左)CNNIC Gregory Beitchman(グレッグ ベイチマン)氏(右)CNNIC Sunita Rajan(スニータ ラジャン)氏
(左)CNNIC Gregory Beitchman(グレッグ ベイチマン)氏
(右)CNNIC Sunita Rajan(スニータ ラジャン)氏

スニータ:こんにちは、Sunita Rajan(スニータ ラジャン)です。CNNICは、CNNのアメリカ外での事業運営を担っている会社で、私はCNNICの広告営業上席副社長として、APAC(アジア太平洋地域)の広告営業を統括しています。アメリカにおけるコンテンツ配信や広告営業をCNNが統括しており、我々CNNICはアメリカ以外の全世界のコンテンツセールスや広告営業を行っています。

グレッグ:Gregory Beitchman(グレッグ ベイチマン)です。私はCNNICの副社長を務めており、グローバルにおけるコンテンツビジネス事業のマネジメントをしています。

 そもそもCNNICのビジネスには、テレビチャンネルを通したコンテンツの放送と、コンテンツの配信の2つがあります。テレビだけでなく、ホテルや飛行機などをはじめとするアウトオブホームの場所へCNNのコンテンツを配信することで、より多くのオーディエンスへコンテンツを届けています。現在、コンテンツ配信の契約をしているパートナーは1,000以上に上ります。

――CNNICが創設されたのは、2013年と比較的最近ですよね。

グレッグ:そうですね。36年前にスタートしたCNNは、ケーブルチャンネルのパイオニア的な立場として衛星放送を行ってきました。当時から今まで”クリエイティビティとイノベーション”に挑み続けるという我々のDNAは変わっていません、

 ですが市場環境は、CNN創設以降、大きく変わりました。生活者の行動やトレンドは、ものすごいスピードで日々変化しています。36年前と違い、今はコンテンツを放送する場所に生活者を呼ぶことなんてできません。

 「CNN Go There for Customers」、顧客がいる所へCNN自ら行くという考え方は、CNNICの核となるものです。CNNICは、我々が作成するコンテンツとCNNの海外のコマーシャル事業を統一することで、海外の多様なオーディエンスへCNNの価値を届けることを目的に展開しています。

ポスト・ケーブル時代の一手、新興動画メディア企業の立上げ

――ポスト・ケーブルの施策の一つに、CNNの独立子会社である新興の動画メディア企業「Great Big Story(グレート ビッグ ストーリー)」の立ち上げが含まれているかと思います。この企業の現状をお聞かせください。

グレッグ:Great Big Storyは、2015年にローンチした動画メディア企業で、24以上のプラットフォームと提携し、動画の配信を行っています。1ヵ月間に1億2,000万超の視聴回数があり、その内およそ80%がモバイルデバイスによる視聴です。

 大きな特徴は、CNNの平均視聴者年齢が58歳である一方、Great Big Storyの平均視聴者年齢は29歳であること。CNNの代名詞と言えるニュースコンテンツではなく、動画によるストーリーテリングに重きを置き、ミレニアル世代に向けた動画の制作から配信までを行っています

――ではCNNICが進めている「マルチプラットフォーム」について、どのような戦略なのか教えて下さい。

スニータ:先ほどグレッグが話した通り、我々は生活者がいるところにコンテンツを置かなければなりません。オーディエンスが年齢性別に関係なく、あらゆるタッチポイントでCNNのコンテンツを消費できる環境を整備し、そこから得られるデータを基に顧客体験を提供し続けることが重要なのです。その環境が「マルチプラットフォーム」です。

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この記事の著者

松崎 美紗子(編集部)(マツザキ ミサコ)

1995年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、新卒で翔泳社に入社。新入社員として、日々奮闘中です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/03/29 09:00 https://markezine.jp/article/detail/27964

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