ロケット発射がもたらした驚愕のエンゲージメント数
今回のコンテンツが、民間企業が行う究極の“宇宙エンターテイメントショー”へと昇華できた決定的な要素として挙げられるのが、宇宙空間を進むロケットに搭載されたイーロン・マスク氏の愛車「赤いテスラRoadster」です。
いうまでもなく、テスラはイーロン・マスク氏がスペースX同様にCEOを務める電気自動車メーカー。秒速11km(時速に換算すると39,600km)で爆走するロードスターには、通称“スターマン”と名づけられたスペースXの宇宙服を来た人形まで搭乗しています。それは、まるで宇宙をドライブするかのよう。
そして、火星に近づく楕円軌道に載せられた“スターマン”に備え付けられたライブ配信用のカメラからは、2月末現在の今も、彼の宇宙ドライブの様子が配信され続けています。

https://www.youtube.com/watch?v=wbSwFU6tY1c
動画では、“スターマン”が「ファルコン・ヘビー」の内部から放たれた瞬間に、デヴィッド・ボウイ の名曲“Life on Mars ?”が流れ、発射を見守っていたスペースXの関係者と思しき人々が大熱狂。同プロジェクト最高の盛り上がりを見せました。

https://www.youtube.com/watch?v=wbSwFU6tY1c
この大型宇宙ロケット発射という一大イベントを「ショー」としてコンテンツ化した今回の動画は、その場に居合わせなかったユーザーを含め、世界中で多くの人々を熱狂させ驚異的に話題を拡散。エンゲージメント数にしてなんと1200万エンゲージメントにも上ったのです(※)。エンゲージメント数の参考値は、「2017年に最もシェア拡散された国内施策を発表 2018年のキーワードは『賛否両論のデュアル拡散』」の記事を読んでもらえるとわかると思います。
(※)スパイスボックスの独自ツールによる集計。
“宇宙に飛ばす”プロモーションは、話題化の王道手法
今回の事例では、スペースXによる宇宙ロケットのテストフライトを前代未聞のロケット発射ショーに仕立て、テスラのPRにも活用するため、スポーツカーが宇宙に飛び立たせました。
実は、この「宇宙に何かを放つことで話題化を狙う」プロモーション手法自体は新しいものではありません。技術的にはシンプルな仕組みでスケールの大きい表現が可能となるため、過去に何度もプロモーションとして実施された例があります。
代表的な事例は、「この星の想いをつなぐ」をテーマに、スマートフォンGALAXY SⅡのプロモーションとして2011年に実施された「SPACE BALLOON PROJECT」です。

同プロモ―ションでは、気象観測用のバルーンにスマートフォンを載せて、上空30,000mの成層圏へとフライトさせてその様子をライブ配信。宇宙を浮遊するスマートフォンに事前に募集した宇宙に届けたいメッセージを表示させ、文字通り「この星の想い」を宇宙とつないだプロジェクトです。
当時、プロモーションの舞台として宇宙を利用することは先例がなかったため、大変な話題となりました。
「SPACE BALLOON PROJECT」は、成層圏においてスマートフォンで通信を行うという難易度の高い技術検証が必要となるプロモーションでした。しかし、これ以降、風船で商品を宇宙に飛ばすプロモーション手法は様々な企業で実施されるようになったのです。