SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第100号(2024年4月号)
特集「24社に聞く、経営構想におけるマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MA・SFAはBtoBマーケの「部品」にすぎない。日本のマーケと営業が「気合」を卒業するために必要なこと

ゼロから始めるBtoBマーケティング組織 営業戦略に基づく「ロジック」はありますか?


 国内のBtoB企業では、強固な営業組織ができあがっているために、マーケティングの組織における役割が誤解されているケースも少なくない。売上を伸ばすためにMAやSFAを導入したはずなのに、思うように成果が出ずに悩むマーケターは、この状況をどう打開するべきなのか。売上を作るプロセスの最先端に立つマーケティングが、後工程を担う営業活動の成功につながるリードを供給するには、どんな組織インフラやリーダーシップが必要になるのか。マーケットワン・ジャパンの山田氏に話を聞いた。

ギャップの見える化ができているか?

――なぜMAやSFAを導入しても成果が得られない企業が少なくないのでしょうか。

 「導入しても成果が出ない」という企業に最も言いたいことは、ツールを入れても「誰がどう使うか」が決まっていないと、得られるはずの成果も得られないということです。

マーケットワン・ジャパン マネージングディレクター 山田理英子氏
マーケットワン・ジャパン マネージングディレクター 山田理英子氏

 まず、「経営がマーケティングに何を期待しているか」を明確にする必要があります。期待とは、営業にリードを提供するといった程度のものではなく、何のために、どこを狙うのかという営業戦略そのものです。

 経営から現状を変える「お墨付き」がないと、マーケティングの一存では動きにくいですし、よくある1桁%アップの目標では、現状維持になっていまいますから、大義名分を作る時はストレッチした目標を掲げる方が効果は高いです。

 また、当たり前のことですが、ツールは新しいリードを作ってはくれません。目指している姿と現状のギャップを見える化し、そこに対してアクションを取ることで、成果が出てくるのです。ここで間違えないでほしいのが、数字の見える化ではなく、ギャップの見える化が重要ということですね。

 ツールは「現状の見える化」ができるといいますが、それだけでは意味がないのです。

 たとえば、1万人のコンタクト情報を持っていたとしましょう。新規開拓を求められている中で300社を攻略するために1万人のコンタクト情報を保有しているのか、それとも10万社あるターゲットのうち1万人のコンタクト情報があるのか、それぞれで1万の数字の意味が変わるはずです。

 ですが、営業戦略がなく、数字の意味が見えていないことが良くあります。何も考えずに「自動化」だけのためにツールを買ってしまい、つまずくのではないでしょうか。

――最初の1歩を踏み出すには、大きなゴールとしての営業戦略と、営業戦略上の目標を達成するためのロジックが必要になるわけですね。

 営業戦略とは、広い意味での「買ってもらうための仕組み」のことです。部門としてマーケティングは営業部門の前工程にいますが、一般的にはマーケティング戦略ではなく、営業戦略と呼ぶことが多いですね。

 営業戦略でもマーケティング戦略でも呼び方はどちらでもいいのですが、「お客様と対面で営業が接する領域から、マーケティングが仕組みとして貢献するところまで」を具体的にしたものになります。少なくとも、営業部門のリソースだけを想定している営業戦略ではありません。

――ロジックはどう作ればいいのですか。

 トップラインの売上から分解することです。新規開拓一つを取っても、やり方はいろいろです。どんな商品でもいいから新規受注を取らないといけない場合と、特定の商品を売るために大きな案件を作りたい場合。この二つは同じに見えてもアプローチは変わるはずです。

 5億円の新規案件を作ろうとすると、そんな購買力のある企業が日本に何社あるでしょうか。その中で、バイヤーペルソナが一致し、関係ができているところは限られますから、それ以外をマーケティングに頼みたいとなる。マーケティングが持つコンタクト情報が足りないとなれば、探してこようとなりますよね。

 営業部門と分担して、コンタクト情報をどれだけ持っているか、営業マンがアクセスできるところはどこか。できないところにどうアプローチするかを考えるでしょう。さらに、案件を作る時の勝率を考えると、マーケティングがコンタクト情報を何件作らないといけないかが見えてくるはずです。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
リードは社内の共有資産

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
MA・SFAはBtoBマーケの「部品」にすぎない。日本のマーケと営業が「気合」を卒業するために必要なこと連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2018/05/17 16:24 https://markezine.jp/article/detail/28123

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング