リードは社内の共有資産
――大企業で悩んでいるところは何が問題なのでしょうか。
MA導入がうまくいかない例を3つ挙げてみますね。
1つ目は、営業が地域別や業界別なのに、マーケティングがプロダクト別と組織の役割分担が分かれているような企業です。
この場合、営業とマーケティングは同じゴールを共有できないので、組織の縦軸と横軸を組み合わせる人が必要になります。

2つ目は、リード情報を社内で共有する文化が根付いていない企業です。
マーケティングから営業にリードを渡してもフォローしてもらえず、いらないと言われてしまったりするような悩みは珍しくありません。リードが社内の資産だという意識がないので、良かれと思ったリードが捨てられてしまうのです。
営業がどんな企業を狙っていて、どんなコンタクト情報を持っているかを集約していない可能性もありますが、マーケティングが営業と会話ができる土壌がない大企業で意外に多いのです。
3つ目は、狙うべき企業の情報を共有しているものの、購買サイクルが決まっているような商品を扱っている場合です。
たとえば、既にコンタクト情報があり、来年に更新時期が来ることがはっきりしている場合は、ターゲットの反応と受注確度に相関はありません。
この3つの例に当てはまったとしても、MAが不要というわけではありません。売上を作るエンジンにならないだけで、見込み客への適切かつ継続的な情報提供を自動化するツールとしては効果的です。
――今の3つ目の例に関連して、マーケティングは営業とBANT(Budget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(必要性)、Timeframe(導入時期))情報を共有する必要はありますか。
「予算が少ないから案件化は難しい」といった、現時点でのBANT情報はさほど重要ではありません。ですが、何をしたら営業と合意したBANT水準にそろえることができるのか(例:時期を待てばいいか、アプローチする相手を変えなければいけないのかなど)を分析しそのアクションを確実にとれるようにすることが重要です。
つまり、いまのBANT状況を把握することがマーケティングの役割ではなく、何をしたらBANT状況を上げることができるのかを、見込み客各社に対して把握することがマーケティングの役割です。