「社畜あるある」が共感され話題に
この動画は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)が、2017年に公開したPR動画です(制作:カヤック)。中小機構は、中小企業を中心とした経営サポートをする行政機関ですが、この動画は中小企業で働くミレニアル世代の若手社員をターゲットに生産性向上を啓蒙する目的で制作されました。
長時間労働やサービス残業といった不健全な経営状態の会社にいる若手社員たちの様子をミュージアムの作品としてコミカルに描いており、思わず「あるある……」と共感・納得してしまう動画になっています。
本動画「社畜ミュージアム」が公開されると、Webを中心にシェア拡散され、中小機構にメディアから取材が入るなど話題となりました。この動画の場合は、多くのミレニアル世代の間に「共感」が生まれたことがトリガーとなり、認知・拡散につながりました。企業が伝えたいメッセージを「共感」という感情にのせて、多くの人達に訴求することができた動画マーケティングの一例と言えます。
「#踊ってみた」には動画マーケ成功のポイントがある
2017年に放送されたテレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」は、最終話視聴率20.8%を記録し大ヒットとなりました。これには様々な要素が関係していますが、「逃げ恥ダンス」が話題を呼んだことは誰もが知るところでしょう。
その証として、YouTubeやSNSなどに、ダンスをコピーして踊った様子の投稿動画が多く見られました。ドラマの大ヒットには、一方向的にドラマが放送されたのではなく、双方向でのコミュニケーションが可能であったことが大きく関係しています。
こういった双方向のコミュニケーションが、成功の鍵となったマーケティング施策は他にもあります。
たとえば、雪印メグミルクは2017年にWeb動画「カサネテク 無敵の合コンテクニック」を公開しました(制作:TYO)。この動画は、重ねドルチェというスイーツの“重ねる”から想起し、女性が合コンで様々なテクニックを“重ね合わせていく”というものです。商品のターゲットであるミレニアル世代の日常生活が描かれたこのWeb動画では、多くの共感を生み、話題となりました。
また本動画でも、動画中のダンスを真似て「踊ってみた」と題した動画がアップ・シェアされ拡散されました。SNSと親和性が高く、自らが情報発信することへのハードルが低いミレニアル世代の女性をターゲットにすることで、連続した拡散が生まれたことも、本事例のポイントと言えるのではないでしょうか。
