SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZine Day 2018 Spring

花王とインテージが本音で激論、広告効果検証の現状と課題

 3月8日から9日にかけて開催された「MarkeZine Day 2018 Spring」。広告効果の検証や可視化をテーマとするセッションで登壇したのは花王の廣澤祐氏とインテージの塩見健吾氏の二人。広告が売り上げにどう貢献するかをマス、デジタルを問わず検証することは長年の課題。効果検証の意義や手法について、事業会社と調査会社の両サイドの目線から議論が繰り広げられた。

広告効果検証は合意形成のツールなのか?

廣澤:まず、本来は別のものであるKGIとKPIを同一視している人がいるのは問題だと思います。花王の場合、店頭での商品売り上げで成り立つビジネスモデルですから、KGIは売り上げになります。ですが、本来KGIである売上をKPIと設定してしまうケースがあり、そうすると外部の会社は疲弊することになるのではないでしょうか。事業主は売り上げにコミットしなければなりませんが、外部の代理店やメディアはブランドKPIや施策KPIにコミットしてほしいと思いますね。

 KGIやKPIの時間軸がバラバラという問題もあります。売り上げは日次で追いかけることができますが、ブランドエクイティは数ヵ月~年に一度しか評価できません。なのに、この2つを紐付けていいのか疑問です。KGIである売り上げと施策KPIの紐付けも簡単ではありません。データが構造化されておらず、3V(Velocity、Volume、Variety)が欠けていては、最後に統合しようにもできないことがあります。

 結局は、断片的な情報から確からしさを頼りに意思決定を行っているのではないか。広告効果の検証は合意形成のツールに過ぎないのではないか。そんな問題意識があります

花王株式会社 コンシューマープロダクツ事業部門 キュレル事業部 廣澤 祐氏(左)株式会社インテージ FMCG事業本部 塩見 健吾氏(右)
花王株式会社 コンシューマープロダクツ事業部門 キュレル事業部 廣澤 祐氏(左)
株式会社インテージ FMCG事業本部 塩見 健吾氏(右)

塩見:調査会社としては耳の痛い話です。合意形成は、投資効果やその証明をするには必須だと思います。ただそれだけではなく、次の成功確率を上げることや、再現性を担保することを目的に行うべきだと思います。スポーツの場合、試合のデータを使って改善するチームと何もしないチームでは、明らかに前者のほうが成長するしょう。経験と勘も非常に重要ですが、データの裏付けがあって初めて意思決定は有効なものになると思います

 再現性の担保という意味では、ブランドAで成功したからブランドBでうまくいくとは限らない。それはブランド資産が違うからです。ただし、ブランドAのどのKPIが上がったから成功したかがわかれば、ブランドBなりのKPIの上げ方がわかるというように、裏側の成功の構造を理解できれば、合意形成の先に行けるのかもしれません。

キャンペーンの規模から目的と手法を整理する

廣澤:成功確率を上げる、あるいは失敗の確率を減らすために効果検証は必要ということですね。断片的で一貫性が担保できないという課題についてはどう思われますか?

塩見:そもそもKGI、KPIをどれだけ整理できているか。デジタルデータが増え、構造のどこを検証しているかがわからなくなっているのではないでしょうか。整理が難しいと、確からしさを見つけることも難しいでしょう。

 整理の視点として、キャンペーン予算の規模があるでしょう。キャンペーン予算が大きい場合は、様々な媒体に出稿する分、予算配分の最適化やコンテンツ改善のために、マーケティングミックスモデルのような大掛かりな調査・分析が必要になるでしょう。予算が中規模の場合は、特定のセグメントで効果が出たかを見るためにブランドリフトサーベイ(BLS)、もっと少ない場合はデータを取得して、効果検証をする余裕もないとなりますから、示唆導出のための実験を行い、結果次第でスケールさせてはどうかと思います。

キャンペーン予算の規模と調査手法
キャンペーン予算の規模と調査手法

次のページ
花王で取り組んだ分析の例

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
MarkeZine Day 2018 Spring連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2018/04/13 09:00 https://markezine.jp/article/detail/28146

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング