過去のデータがなくとも、最適な提案をする方法
アクティブコアでは過去の閲覧履歴や購入履歴がなくても、最適な商品・サービスをレコメンドすることに取り組んでいる。
使用するのは「自然言語処理」という技術だ。たとえば、白樺にあるホテルを閲覧しているユーザに対しては「白樺」「ホテル」と距離の近い単語を抽出し、商材の説明文にある単語と付き合わせ、合致率の高い商品を薦める。この場合は「雪」「白い」「スキー」などの関連性の高い語句をAIが判定し、商材となるホテルの説明文の単語を抽出して、類似性が高いと予測される商材をレコメンドするわけだ。
これまで、Webサイトでレコメンドや最適な提案を行うには、過去の閲覧履歴や購入履歴データが必要だったが、「AIを使えば、新商品や履歴のない新規ユーザに対しても最適な提案を行うことができます」と山田氏は説明する。
AIの分析結果を活かせる実行基盤の条件
AIの適用範囲は、まだ多数ある。それが顧客行動の予測だ。具体例を挙げると、「この顧客は次に店舗で購入する確率が高いから、その機を逃さずにリマインドする」という施策に利用される。
店舗とECの2つのチャネルで展開している企業では、「店舗とWeb両方で購入する」会員は1.2%で、一方「Webを訪問した後、店舗で購入する」という会員は8.7%だった。この8.7%の顧客の特徴をAIで分析し、類似する会員がWebで商品閲覧を行ったら、その機を逃さずに店舗誘導メールを送ったという。これにより、10日以内にメールに反応して店舗で購入した会員は58.4%と、高い成果を上げた。
そのほかにも、モバイルアプリの行動から顧客動向を予測する、広告閲覧履歴をもとに最適な広告戦略を策定するなど、AIとマーケティングの相性は非常に高い。
山田氏は、「ここでポイントとなるのは、ターゲット抽出やパーソナライズ、配信などの施策、そして分析基盤が一体化していること」だと語る。
「ワンプラットフォームでないと施策の最適なタイミングを逃す上に、施策結果をデータとして活用するのに時間も工数もかかります。ワンプラットフォームでアクションの結果をAIに学習させ、施策を自動化できるようにすることが、望ましいです」(山田氏)
アクティブコアの提供している「activecore marketing cloud(アクティブコア マーケティングクラウド)」は、AIとの融合を念頭に、分析機能・MA機能・レコメンドといった各機能をワンプラットフォームで提供。顧客軸で様々なチャネルのデータを統合するデータ統合機能も持ち合わせている。なお、チャネルを横断して顧客単位でデータを統合して、セグメントしたユーザに対してレコメンドするテクノロジーに関しては、特許も取得している。
今後、マーケティング分野でAIの適用が進んでいくことは間違いない。企業と顧客のコミュニケーションがより最適化できるように、まずは顧客軸でのデータ統合から始めるのが、AI活用の第一歩となるだろう。